ハン・ガンさん(C)Paik Dahuim 「ハン・ガン コレクション 全5巻」(白水社)の刊行開始を記念し8月中旬、ハン・ガンさんと作家の桜庭一樹さんのオンライン対談が行われた。 2024年にノーベル文学賞を受賞した後、ハンさんが日本のトークイベントに参加し、発言するのは初めて。同コレクションの訳者、斎藤真理子さんがゲストに加わった対話は2時間に及び、ハンさん自身の声で自作の歩みやその文学観を知る充実した機会となった。世の中の困難や苦しみの声を聞く ハンさんは冒頭、ノーベル賞の受賞について「小説だけではなくエッセーや詩などが多く翻訳されてきた日本の読者の皆さんに、喜んでもらえてうれしい」と語った。受賞直後は「注目されることに負担を感じていた」というが、「最近は人々の注目度も薄まり、心が軽くなってきた。私の内部の環境はほとんど変わりなく、静かに過ごしている」と心境を述べた。 桜庭さんはコレクションの第1巻『私の女の実』に「声なき人の代わりに」と題した解説を寄せた。対談では、ハンさんの作品を丁寧に読み、時系列に感想を述べ、質問を投げかけた。 まず『私の女の実』について「ハンさんの作品は、弱い立場の人の声を聞く文学だと思う。ハンさんにとって、人間の弱さ、強さはどういうものだと感じるか」と尋ねた。 ハンさんは「当時私は仏教にはまっていた時期でもあった。観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)は、世の中の声、音を聞く菩薩だと言われている。世の中の音とは、貧しさや困…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事