人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋シート「リハート」の移植手術を受け、記者会見に同席した女性患者=大阪市天王寺区の大阪けいさつ病院で2026年10月21日午前10時26分、寺町六花撮影 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋シート「リハート」を重い心臓病の患者へ移植した大阪けいさつ病院(大阪市)の澤芳樹総長らが21日、同病院で記者会見した。iPS細胞由来製品が実用化され、治療で使われるのは世界で初めて。術後の経過は良好で、同席した患者の女性は「病気になる前の生活に戻って趣味を楽しみたい」と期待を語った。 リハートは、澤総長が取締役最高医療科学責任者を務める大阪大発ベンチャー「クオリプス」が開発。「虚血性心筋症」による重症心不全が対象で、既存の治療で十分な効果が得られなかった患者に用いられる。心臓の表面に直接貼り付けると血管を再生する物質などが分泌され、心機能の改善が期待できるとしている。Advertisement 患者は神奈川県の50代女性で、2022年に急性心筋梗塞(こうそく)を発症。徐々に心機能が低下し、薬物療法などを続けたが日常生活への影響が続いていた。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋シート「リハート」の移植手術について記者会見する大阪けいさつ病院の澤芳樹総長(右端)ら=大阪市天王寺区の同院で2026年10月21日午前10時24分、寺町六花撮影 手術は9月29日に実施。左胸を約5センチ切開し、心筋シート3枚を心臓に貼り付け、約1時間で終了した。今年3月に条件・期限付きで製造販売が承認され、9月に公的医療保険が適用されて以降、初の症例という。 女性は22日に退院予定で、「深く呼吸できるようになり、生きている実感がある。犬の散歩に行って思い切り走りたい」と語った。 澤総長は「再生医療が普及して実施施設が拡大し、より多くの重症心不全の患者が新たな治療機会を得られるようにしたい」と話した。 クオリプスは33年までに患者75人を目標に使用して有効性や安全性を示し、「本承認」を得る方針としている。【寺町六花】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。