政府は旧姓(旧氏)の通称使用を拡大する法案について、今国会への提出を見送る調整に入った。複数の政府・与党関係者が22日、明らかにした。旧姓使用を巡る自民党内の議論を収拾する見通しが立たないほか、最重要法案である消費減税関連法案などの審議を優先する必要があることなどを踏まえた。来年の通常国会での法案成立を目指す方針だ。 政府は法案について、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど特に重要な本人確認書類についてはこれまで通り「旧姓の併記」としつつ、商業登記や法人登記、国家資格などについては旧姓だけを記載する「旧姓単記」を可能とする方向で検討している。Advertisement 政府は今国会での成立も検討していたが、政府・与党関係者は「自民内の反発を考えれば難しいと風向きが変わった」と語った。法案は、あくまで夫婦同姓の原則の維持を前提とするため、選択的夫婦別姓の推進派には別姓実現の機運を低下させるとの懸念が強い。一方、保守派内にも旧姓使用拡大が別姓制度の容認論を後押しするとの懸念もあり、党内の意見はまとまっていない。 選択的夫婦別姓の導入を求める主要野党の反発が強まることも避けられず、政府・与党は今国会での成立が絶対条件である消費減税関連法案や、日本維新の会が連立入りの条件に掲げた衆院議員定数削減法案の審議を優先させる方針だ。 自民と維新の連立政権合意書は、旧姓の通称使用の法制化案を2026年通常国会に提出し、成立を目指すと明記している。政府は先の国会でも法案提出を見送っており、先送りが決まれば今回で2度目となる。【原諒馬、大野航太郎】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。