屋根に太陽光パネルを設置した戸建て住宅=横浜市戸塚区で2020年2月5日、武市公孝撮影 脱炭素社会の主力電源になるはずの太陽光発電への風当たりが強い。高市早苗政権下でメガソーラーなどに対する規制が強まり、従来型の太陽光導入は停滞している。政権の脱炭素政策を、気候シンクタンク「クライメート・インテグレート」の平田仁子代表はどうみているのか。【聞き手・高橋由衣】 ――メガソーラー(大規模太陽光発電所)を中心に太陽光発電への規制が強化されています。一方で政府は2050年に二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする目標を掲げていますが、現在の脱炭素政策をどう評価しますか。 ◆これから拡大・普及が図られるはずの、準備ができている既存の太陽光発電にブレーキがかかっていると認識しています。 イラン情勢の悪化に伴うエネルギー危機により、個人も事業者も負担を強いられています。化石燃料はCO2排出に加え、価格変動や安全保障などの面でリスクがあります。 一方で、降り注ぐ太陽のエネルギーを活用する太陽光発電は燃料代がかからず、調達リスクもありません。脱炭素化だけでなく、電気代の負担を減らす大きな解決策の一つです。 ところが、メガソーラーや営農型太陽光の要件が厳しくなるばかりで、従来型の太陽光発電の普及策に大きな前進はなく、有効な手段を活用し切れていません。 ◇高市政権の太陽光規制強化 メガソーラーを巡り各地で事業者と地元のあつれきが表面化したことを受け、27年度からメガソーラー支援を廃止。市場価格に上乗せして電気を買い取る制度の対象から新規分を外す。 農作物を育てながら発電する「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」では、農水省がパネルの遮光率を30%未満に抑えるなど設置基準を厳格化する方針を提示。「新規導入が減る」などと懸念が出ている。 環境省は自治体や企業向けに支援してきた従来型(シリコン型)パネル購入費補助を27年度新設分から打ち切る。 ――政府は次世代型の「ペロブスカイト太陽電池」を重要視しています。環境省の27年度予算の概算要求でも要求額が大幅に増えました。 ◆ペロブスカイトがある程度の規模で普及するまでには時間がかかります。それまでの間もしっかり太陽光を増やしていく必要がありますが、新規導入のスピードは遅くなっているのが現状です。25年末時点の太陽光発電導入量は78ギガワット(経済産業省公表値)で、電源構成に占める割合は1割ほど。新規導入量は、ピークだった14年度の9・4ギガワットから減速し、24年度は2・8ギガワットまで減りました。 政府の太陽光発電の導入目標は、40年に240ギガワットほどになると試算されます。一方、ペロブスカイトの導入見込みは同年で20ギガワットにすぎません。つまり40年時点でも大勢を占めるのは従来型の太陽光です。ペロブスカイト支援に比重を置くあまり、従来型太陽光の普及が止まってしまうことを懸念します。 ――政府は従来型について「適地が減っている」と説明しますが、実際はどうでしょうか。 ◆野だてのメガソーラーのようなケースは確かに導入が進んできました。地域と共生できないものは規制すべきです。ただし、建物の屋根や駐車場、高速道…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事【最新記事】