夏の日差し=東京都内で、米田堅持撮影 世界の気温上昇は産業革命前と比べて1・5度を超過することがもはや避けられない見通しだ。国連環境計画(UNEP)は21日、報告書を公表し、一時的に超過したとしても今世紀末までに再び「1・5度」に戻すシナリオを示した。「超過の期間と規模をできる限り小さくする必要がある」として、各国に温室効果ガス排出削減の強化を求めた。 気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、各国は産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える国際目標に合意している。しかし、世界の平均気温は年々上昇し続けており、UNEPは9月にまとめた報告書で、数年以内に1・5度を超過し、災害や健康被害などのリスクが危機的な水準まで高まると警告していた。Advertisement 今回の報告書では、一時的な超過を許しても、気温上昇のピークを1・7~1・8度にとどめ、今世紀末までに再び1・5度に戻す道筋を提示した。 それによると、世界全体の温室効果ガス排出量を2030年までに25年比18%、35年までに同45%削減しなければならない。加えて、今世紀中に約3200億トンの二酸化炭素(CO2)を大気中から回収・除去する必要もあるという。 パリ協定の締約国・地域が掲げている削減目標とは大きな隔たりがある。報告書によれば、各国の現在の目標を全て達成できたとしても、30年までに同5~8%、35年までに同11~15%の削減にとどまる。 世界の25年の温室効果ガス排出量は584億トン(CO2換算)で前年からほぼ横ばい。この水準で排出が続けば、今世紀末までに世界の気温は産業革命前より2・8度上昇すると見込む。各国の現在の目標が達成された場合でも2・6度上昇してしまうという。 報告書は、再生可能エネルギーのさらなる拡大や、化石燃料によるエネルギー供給の大幅削減がシナリオ実現には不可欠と指摘した。UNEPのインガー・アンダーセン事務局長は「各国が引き返す地点は今ここだ。迅速かつ大幅で持続的な排出削減が求められる」と強調した。 トルコ・アンタルヤで11月に開催される国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)でも、国際社会がいかに温室効果ガスの削減策を強化できるかが注目される。【高橋由衣】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事【最新記事】