2026年9月24日 13時19分有料記事編集委員・吉田伸八 匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による犯罪への対策を議論してきた警察庁の有識者検討会(座長・川出敏裕東大大学院教授)は24日、重大な犯罪の防止を目的に、匿流が使っているスマートフォンの通信内容を遠隔で入手する新たな制度を早期に導入すべきだとする提言をまとめ、警察庁に提出した。SNSアプリが並んだスマホ画面(写真はイメージです) 警察庁は提言をふまえ、「遠隔解析」の目的や運用上の手続きについて警察官職務執行法で定める方針で、近く同法改正案を策定し、早ければ次の臨時国会に提出する考えだ。制度は、憲法の通信の秘密やプライバシーの保護に関わるもので、それらとの整合性や適正な運用の確保をどう図るかが焦点となる。 提言では、2025年の特殊詐欺の被害額が過去最悪の約3257億円(SNS型投資・ロマンス詐欺を含む)に上り、強盗殺人事件も発生するなど、匿流による犯罪被害は「異常事態」と呼ぶべき深刻な状況とした。 匿流による犯罪では実行役の募集や犯行の指示に秘匿性の高い通信アプリが使われ、指示役らの特定や通信内容の把握が困難と指摘。実行役を摘発するなどしても、次の犯行の標的を速やかに特定できずに犯行が継続されているとし、これまでの警察による対策の効果は不十分とした。被害防止のために、通信内容を迅速に把握する遠隔解析の早急な導入を求めた。ハッキングを想定 提言では、遠隔解析は、刑事手続き上の捜査手法ではなく、犯罪の予防・阻止を目的とする行政手続き上の措置と位置づける。対象の端末は「被害発生のおそれがある重大犯罪の犯人が使用すると合理的に認められるものに限定すべきだ」とした。 遠隔解析するのは、犯人同士や被害者への連絡に使われた端末で、入手する情報は、端末に記録された情報のうち、犯罪の被害が切迫している人の氏名・住所や自宅写真▽犯罪の日時▽実行役の人数――などという。犯罪の種類は特定せず、「数人の共謀によると認められる犯罪の被害」を対象にする。秘匿性の高い通信アプリとされる「シグナル」(左)と「テレグラム」 遠隔で情報を取得する技術について、提言では「犯人らに対抗措置を取られないよう、詳細は徹底した情報保全を図る必要がある」とする。警察関係者によると、相手のスマホを合法的にハッキングすることが想定され、ある時点で通信アプリに記録されている情報を複写して取得するイメージという。 適正な運用を担保するため、警察は事前に裁判官から許可状(令状)の発付を得て、実施する。遠隔解析の中で、令状の対象外の情報を扱った場合はそのすべてを消去し、対象の端末の使用者には事後に通知するとした。 また、遠隔解析を実施した警察官は公安委員会に事後に報告して確認を求める。適正性の確保のために必要があれば、公安委員会が具体的な措置を取れる仕組みにする。■英・独・米はすでに実施…【この記事の続きが読める】有料記事が読み放題のスタンダードコースが初回1カ月無料!詳しくはこちら宅配紙面の購読者なら、ダブルコース半年割がお得です。詳しくはこちらこの記事を書いた人吉田伸八編集委員|警察庁担当専門・関心分野警察行政、事件、犯罪関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ9月24日 (木)日米首脳が会談女性の高学歴 出産と関係薄くニセの「金」を質入れ9月23日 (水)千葉・神奈川 土砂崩れ相次ぐクマ撃退スプレー 要件を公表汚染食品 世界で152万人死亡9月22日 (火)台風25号 関東に接近マダニ感染症 広がる感染地域88歳 堀江さん、太平洋横断へ9月21日 (月)65歳以上が総人口の29.6%に長寿の親持つ人は長生き傾向スガキヤ、20年ぶり関東へトップニューストップページへ米オープンAIトップ「AIに未来奪われる」国連安保理で協調を直訴13:01習近平氏はなぜいま訪米? 米中首脳会談「第2ラウンド」六つの要点12:004歳で行方不明、37年後の失踪宣告 「死亡日」記入で震えた手6:00米国賓の習氏出迎え、主要テレビ中継せず 報道締め出しに抗議の余波12:50脅され闇バイト強盗、自ら捕まりにいった男 「社会に溶け込みたい」9:00印旛沼の堤防決壊、広がる住宅浸水 住民は落胆「あきらめの境地」5:00