「悠月の席」にやっと報告できる 30キロ規制訴え続けた父の20年

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現場から2026年9月25日 7時00分有料記事今村優莉福地悠月ちゃんが使っていた椅子とお皿。今も変わらぬ位置にある=福地禎明さん提供 4人掛けの食卓に、色あせた木製のベビーチェアがある。付属のテーブルの上にはディズニープリンセスの絵柄のお皿。夕食時になると、妻(56)が皿に食事をよそう。あの日を境に4人家族は3人になり、昨春に長男(27)が家を出ると夫婦ふたりになったが、ちいさな娘と囲む食卓は20年間ずっと変わらない。 あの朝、この椅子に座って、食パンを1枚平らげた。「きょうは保育園サボって、じいちゃんと遊びに行こうか」と冗談を飛ばす祖父に「イヤだ! 保育園に行く」と答え、元気に登園した。約3時間後に病院へ運ばれ、帰ってこなかった。子どもたちの行き交う道路なのになぜ… 5歳だった福地悠月(ゆづき)ちゃんは、2006年9月25日、埼玉県川口市の生活道路で、園児たちと列になって散歩をしている時に、突っ込んできた乗用車にはねられた。意識不明の状態で搬送され、1週間後に亡くなった。ほかに女児3人が死亡し、17人が重軽傷を負った。 勤務先で一報を受けた父の禎明(よしあき)さん(57)が病院へ駆けつけると、悠月ちゃんは人工呼吸器をつけられていた。「家族全員、いろいろ叫びまくっていたことだけ覚えています」 逮捕された運転手は、業務上過失致死傷罪で起訴された。時速約50~55キロでわき見運転をして、園児らの列に突っ込んだ。近くに保育園や学校があるのに、速度規制の標識はなく、制限速度は時速60キロだと知った時は耳を疑った。 なぜ、子どもが行き交う道を時速60キロで走ることが許されているのか。なぜ、わき見をしても危険運転致死傷罪にならないのか。いくつもの「なぜ」が頭から離れず、禎明さんは法律や判例を調べ始めた。 危険運転致死傷罪への訴因変更を求めて、ほかの遺族とともに署名集めを始めた。「悠月だけのためじゃない。これからを生きる子どもたち、その次の子どもたちが同じ犠牲に遭わないために」心ない言葉 かけられたことも 約21万人分の署名を集めて提出したが、訴因は変更されず、運転手は懲役5年の実刑判決が確定した。これでは悠月ちゃんに報告できない。禎明さんは声を上げ続けた。 心ない言葉も返ってきた。署名用紙を置いたガソリンスタンドでは、立ち寄った客から「こんなことをされたら運転手は食い上げだ」と。交通死亡事故の保険金の額を調べたという人から「こんなにもらえるなら、いいだろう」と言われたこともあった。 刑を重くするだけでは、命は…【この記事の続きが読める】有料記事が読み放題のスタンダードコースが初回1カ月無料!詳しくはこちら宅配紙面の購読者なら、ダブルコース半年割がお得です。詳しくはこちらこの記事を書いた人今村優莉GLOBE/with Planet編集部記者兼動画ディレクター専門・関心分野母子保健・感染症、グローバルヘルス/中国に関すること、アフリカに関すること、マイノリティー問題関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ9月25日 (金)東京都の中古マンション下落「原発回帰」欧州で加速国連安保理にAI規制求める9月24日 (木)日米首脳が会談女性の高学歴 出産と関係薄くニセの「金」を質入れ9月23日 (水)千葉・神奈川 土砂崩れ相次ぐクマ撃退スプレー 要件を公表汚染食品 世界で152万人死亡9月22日 (火)台風25号 関東に接近マダニ感染症 広がる感染地域88歳 堀江さん、太平洋横断へトップニューストップページへ習・トランプ会談は成功したのか、米中専門記者がポイントを解説6:39なぜ千葉で豪雨禍繰り返す? 違う要因で偶然集中、ただ共通するのは18:20横須賀女性死亡の崖崩落 以前から土砂流出、所有者に対応求めていた20:42匿名アカウントで不適切投稿 自民党福岡県議「攻撃的になり反省」15:23卓球男子、日本が中国を破り60年ぶりのアジア大会V 「長かった」22:08スタートアップ企業、防衛産業へ続々参入「新しい戦い方」の担い手に6:00