近代哲学の草分け田辺元 戦争責任から再評価、見えてきたものは

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毎日新聞 2026/9/26 06:00(最終更新 9/26 06:00) 有料記事 2655文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷田辺元が晩年隠とんした山荘の書斎=群馬県長野原町北軽井沢で2026年8月30日午前10時、千葉紀和撮影 哲学者・田辺元(はじめ)(1885~1962年)の再評価が進んでいる。京都学派の中心人物で、戦時の国家主義に加担した責任から山里に隠とんし、思索を続けた。だが、腫れ物扱いからの復権も半ば、晩年の佳作を生んだ山荘が売却の危機にある。日本近代哲学の草分けの一人ながら、影の薄い田辺のあれこれ、気になりませんか――。山荘に隠とんし懺悔道へ 「京都学派を支えた田辺の思索と、日々の暮らしを後世に伝える貴重な場です。なんとか保存活用の道を探りたい」 8月末、群馬県の北軽井沢にある山荘で開かれたシンポジウム。主催した東京大教授の張政遠さん(日本哲学)が50人近い来場者に呼びかけた。 ここは、京都帝国大の教授を定年退官した田辺が移り住んだ地だ。太平洋戦争が終結間近の45年7月のことである。標高1000メートルを超す避暑地で夏は快適だが、極寒になる冬場も居続け、外界と隔絶した生活を17年間続けた。 なぜ山あいの地で閑居していたのか。その山荘がどうして処分されそうなのか。その前に、まずは生涯を振り返ろう。 田辺は東京・神田生まれ。秀才で名をはせ、東京帝大を卒業後、西田幾多郎の招きで京都帝大の教員に。後に主任教授を受け継いだ。 ドイツ留学中はハイデガーらと親交を深め、下村寅太郎や唐木順三、高山岩男ら多くの門下生を育て、文化勲章も受章している。 西田と田辺は西洋哲学を基に、東洋思想を組み合わせた独自の哲学を展開した。ともに日本の近代哲学の先駆者と位置づけられ、教え子を含めて京都学派と呼ばれている。 一方、田辺を語る上で欠かせないのが戦争責任の問題だ。 彼の代表的な考えに「種の論理」がある。世界や共同体を捉えるにあたり、個と全体で考えるのではなく「類、種、個」と3区分にし、互いに影響を与え合う弁証法的な関係を提起した。 当時の帝国日本を覆った全体主義への抵抗の意図もあったが、「種」に民族国家を置いたことで、戦時総動員の正当化などを思想面で支える形になった。 また、学内の講演や寄稿などで「国家に身を捧(ささ)げる」意義を強調した。当代きっての思想家の言動は憲兵ににらまれており、抵抗しきれなかった。講演録は「歴史的現実」と題して出版され、戦地に赴く学生らの精神的支えにもなった。 この時代、もっと露骨に戦争協力した哲学者は少なくない。京都学派の門弟らは特にその傾向が目立った。 本来は軍と距離を置いていた田辺だったが、戦後は厳しい批判にさらされた。山荘にこもって自らを省み、「懴悔(ざんげ)道としての哲学」を発表。その後も「死の哲学」に関する論考を残したほか、近隣の小中学校の教師らに哲学講義をするなどして77年の生涯を閉じた。海外で注目、現代的解釈も 半ばタブー視された田辺の哲学は長く影が薄かった。先輩でライバルでもあった西田の哲学が「善の研究」をはじめ国内外で注目されてきたのとは対照的だ。「無即愛、愛即無」など、田辺が用いるキーワードも私のような凡人には難解すぎる。 それでも少しずつ再評価が進み、生誕140周年だった昨年末には複数の専門家による書籍「甦(よみがえ)る田辺哲学」が刊行された。 「田辺哲学は『自己と他者がともに否定されつつ肯定される』と説きます。それによって、共生の道を示しています」 著者の一人で、中国の名門・中山大教授の廖欽彬さん(日本哲学)は意義を語る。「自己を否定するのは難しいが、それができるかどうかが重要です」と指摘し、「相次ぐ戦争や民族対立、外国人排除、行き過ぎた資本主義といった現代の諸問題を解決する糸口になる」とみる。 前出の張さんと廖さんは、それぞれ香港と台湾の出身だ。シンポジウムの前に開催された田辺哲学の研究会には、中国からも学者が参加していた。アジアの国々に犠牲を強いた戦争への加担が問われた田辺である。それだけに意外な印象だが、独自の哲学が東アジアを中心に海外でも脚光を浴びているという。 現代的な解釈も進んでいる。科学と哲学の共同研究に取り組む北海道大教授の田口茂さんは…この記事は有料記事です。残り992文字(全文2655文字)あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>