運転免許証の画像流出、今できることって? 再交付も効果は限定的か

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カーシェアの車に貼られたタイムズのロゴマーク=2026年10月1日午後3時5分、東京都中央区、野口駿撮影 企業への不正アクセスなどによる個人情報の大規模な漏洩(ろうえい)が相次いでいる。中でも深刻なものの一つは、顔写真付きの運転免許証の情報の漏洩だ。カーシェアリングサービス「タイムズカー」では氏名や住所、生年月日のほか、運転免許情報や運転免許証画像などを含む個人情報が漏れた。免許証画像などの流出は約160万件に上るという。 運転免許証の情報が漏れた場合、どのような悪用のリスクがあるのか。今からでも、自分でできることはあるのか。流出した情報、半年後に悪用の可能性も ――運転免許証の情報が漏れると、どのように悪用される心配があるのか。 複数の専門家によると、顔写真付きで氏名や現住所、生年月日まで記された運転免許証の情報が犯罪者側に渡れば、免許証の名義本人になりすまして金融機関の口座開設を試みるなどの悪用につながる可能性があるという。 口座開設には本人確認に高いハードルが設けられており、顔写真付きの免許証はその確認書類として用いられる代表格だ。 オンラインでの口座開設の手続きでは、免許証などの画像を提出した上で、自身の顔を撮影し、本人かどうかを確認する手続きが設けられているケースがある。不正に入手した免許証の顔写真部分をAI(人工知能)に読み込ませ、別人の顔を置き換える技術を使えば、システムをだまし、本人になりすまして確認をすり抜けることも可能になるおそれがあるという。 なりすまし対策が突破されれば金融機関の口座を無断で開設され、犯罪に使われるおそれがある。また、同様の方法で知らない間に消費者金融からの借金を負わされる懸念もあるという。 ――いつまで警戒すればいいのか。 情報セキュリティーに詳しい神戸大学名誉教授の森井昌克氏によれば、流出した情報が半年後や1年後に悪用される可能性もある。森井氏は「自分が犯罪に巻き込まれないか、長期間にわたって警戒しなければならない」と警鐘を鳴らす。 一方で、犯罪収益移転防止法が改正され、来年4月から、金融機関の口座などを開設するために非対面で本人確認を受ける場合、運転免許証のICチップ情報を送る必要があり、原則、画像や写しを用いることはできなくなる。流出した免許証の画像だけを使って本人になりすますことは、これまでより難しくなるとみられる。免許証再交付など特例措置も「安心できない」? 金融庁は9日、銀行や証券、保険会社などの金融機関に対し、安全対策の点検と必要な措置をとるよう注意喚起した。その中で、本人確認の方法については、改正犯罪収益移転防止法の施行日を待たず、できるだけ速やかな対応を求めた。 ――警察はリスクをどう見ている? 警察庁の楠芳伸長官は8日の定例会見で、「なりすまし」に注意し、預貯金口座の開設や金銭貸し付けなどに関わる事業者に対し本人確認の徹底を求めている。 個人向けの対策としては、詐欺電話を遮断する警察庁推奨アプリの活用などを挙げた。情報の流出元の企業をかたる偽メールからクレジット番号の情報が盗まれることも想定されることから、メール内のリンクは安易にクリックせず、公式サイトからのアクセスを求めた。 ――運転免許証を再交付してもらえる? 警察庁によると、「タイムズカー」のケースでは、道路交通法施行規則で「公安委員会が相当と認めるとき」という規定に基づき、再交付の申請ができる。 広島県公安委員会は、希望者に対して運転免許証を再交付する。顔写真や免許番号を変えることができるという。県警によると、運転免許証の再交付は通常、紛失や住所の変更時などに限られるが、今回は1日から受け付けている。 ――運転免許証を再交付してもらえば、効果はあるのか。個人でできる「本人申告」や「本人開示」 再交付を受けても氏名や住所、生年月日という個人情報がすでに漏れたことには変わらず、効果は限定的との指摘もある。ある警察関係者は「安心できるものではない」と言う。 ――個人でできることは何か。 一つが、「日本信用情報機構(JICC)」や「シー・アイ・シー(CIC)」といった信用情報機関の「本人申告制度」を使うことだ。 免許証の情報が第三者によって悪用される可能性がある時などに、自身の信用情報の利用に注意を促すコメントを登録できる仕組みだ。 JICCは消費者金融などから、CICは主にクレジット会社などから、契約や返済状況などの情報を集めて管理している。新たな貸し付けなどの審査の際、貸金業者やカード会社がそのコメントを参照するため、第三者による個人情報の不正利用を防ぐ効果が期待できる。銀行などの金融機関が加盟する「全国銀行個人信用情報センター」でも本人申告制度が利用できる。 こうした機関では、自分の信用情報を開示する請求もでき、身に覚えのないローンやクレジットカードなどの申し込みがないかを確かめられる。 ただ、漏洩を受けて、こうした機関への「本人申告」や「本人開示」の請求が相次いでいる。電話がつながりにくくなったり、本人申告コメントの登録完了までに時間を要したりするなどの影響が出ている。