ICCの赤根智子所長=東京都内で2024年6月14日午後1時52分、国本愛撮影 米国による国際刑事裁判所(ICC、本部=オランダ)に対する制裁発表を受けて、ICCの赤根智子所長が9日に発表したビデオ声明の全文(英語で発信)は以下の通り。【訳・石山絵歩】 本日、米国は、歴史上前例のない措置として、ICCそのものに対して制裁を科しました。 これは、正義の実現に尽力している特定の独立した裁判官や検察官に対する一連の指定措置に続くものです。当裁判所は、これらの制裁を断固として拒否します。Advertisement 私自身、ICCの裁判官として、裁判所が政治的な動機に基づいて行動しているわけではないことを断言します。 我々は独立かつ公平な司法機関であり、その行動は法と証拠のみに基づいて行われています。裁判所が司法上の使命を果たすことを妨害しようとする行為は、決して容認できません。「国際法秩序に対する攻撃」 これは、当裁判所を設立した主権国家に対する攻撃です。さらに言えば、国際法秩序に対する攻撃でもあります。 (犯罪の)責任者が裁かれるのを何年、時には何十年も待ち続けてきた大量残虐行為の被害者たちに対する攻撃でもあります。当裁判所に対して取られるあらゆる措置は、最終的にはそれらの被害者たちに影響を及ぼします。 当裁判所は、決して各国の司法制度に取って代わることを意図したものではありません。 当裁判所は最終手段としての裁判所であり、国家が真摯(しんし)に捜査や起訴を行う意思がない、あるいはその能力がない場合にのみ行動することができます。その管轄権は、世界中のあらゆる法制度に共通する原則に基づいています。脅威には「屈しない」決意改めて表明 国家は、自国内で犯された犯罪、あるいは自国民によって犯された犯罪について、加害者を裁判にかけることができます。ICCの締約国は、(ICC設立の根拠となった)ローマ規定に加盟することで、当裁判所を通じて共同でその権限を行使することを選択したのです。 明確にしておきますが、ICCは、国際社会が懸念する最も重大な犯罪を犯した者たちにのみ利益をもたらすような外部からの脅威には屈しません。 本日、私は、被害者のために、独立性と公平性を保ちつつ、その任務を完全に遂行するという当裁判所の揺るぎない決意を改めて表明します。国際刑事裁判所(ICC)=オランダのハーグで2025年10月10日正午、岡大介撮影一つの機関の問題ではない 今回の指定は、当裁判所の活動を妨害し、裁判所で働く人や協力する人を威嚇することを目的としています。ICCは決して屈することはありません。 しかし、ICCは単独では立ち行きません。その運命は今や、ICCを創設した締約国の手にも委ねられています。 ローマ規定は、国際社会全体が関心を寄せる最も重大な犯罪が、決して処罰を免れてはならないという集団的な約束です。その約束を果たせるかどうかは、それを交わした者たちの決意次第であります。 課題はあるかもしれませんが、裁判所は締約国と協力し、その活動の継続性と強じん性を確保するために多大な努力を払ってきました。裁判所は、締約国に対し、裁判所がその業務を継続するために必要な手段を引き続き確保できるよう、具体的な措置を講じ続けるよう呼びかけています。 これは単なる一つの機関を守るということではなく、法の支配に基づく国際秩序を守ることなのです。「今日下す選択は歴史に評価される」 私たち一人ひとりは今、力こそが正義とされる世界と、被害者が引き続き正義にアクセスできる、法の支配に基づく未来との間で選択を迫られています。こうした攻撃に直面して、私たちは無関心でいるわけにはいきません。 締約国を含む私たち全員が、国際秩序を守り、力ではなく法を支持するという、法的かつ道義的な義務を負っており、今日下す選択は歴史によって評価されることになるでしょう。 私は皆様に誓います。ICCは、正義が必ず勝つという揺るぎない決意をもって、その活動を継続し、抑止力を発揮し続けます。Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事