「8がけ社会」でも熱量高く、対話で当たり前を問い直す 山崎亮さん

Wait 5 sec.

朝日新聞連載8がけ社会記事インタビュー2026年10月10日 11時00分有料記事聞き手・石垣明真インタビュー連載「8がけ社会」を読み解く山崎亮さん=2026年9月29日、東京都中央区、石松恒撮影 たとえ人口や経済の規模が縮小しても、一人ひとりの熱量を上げることで、地域やくらしを充実させることができるはずだ――。縮小する地域の活性化やまちづくりに取り組んできたコミュニティーデザイナーで関西学院大学教授の山崎亮さん(53)に、そう思う理由と、人手不足がさらに強まっていく「8がけ社会」への向き合い方を聞いた。 ――地域を活性化するためのワークショップを数多く開き、見えてきたことはありますか? それぞれの地域には、立場や考え方の異なる人たちが暮らしています。まちづくりでは、そうした人たちが一緒に地域の将来を考え、何をするのかを決めていかなければなりません。まずはお互いを理解し合うことが重要です。だからこそ、ワークショップでは対話に時間を割いてきました。朝日地球会議2026で「8がけ社会」セッション(参加申込はこちらから)「8がけ社会」を乗り越えるためのオンラインセッションに山崎さんが登壇します。福島県で地域商社を経営する小林味愛さんを交え、対話を通じて熱量や共感を高める方策について語り合います。(11月2日から配信)。高校生・大学生と記者が語り合うワークショップも開催します。 ――対話を重ねる意義はどこにありますか。 対話とは、お互いの人となりや世界観を理解し、共有し合う作業です。「あなたは世界をそう見ていて、だからこういう発言が出てくるのね」とわかり合うには、普通の会話と違って時間がかかります。そうした対話を繰り返すと、自分の考えとは異なる相手の言動にも「自分と違って嫌なもの」とは認識しなくなる。そうすると、様々な行動を一緒にすることができるようになります。離島の活性化事例で見えたこと ――活気のある島として有名な島根県海士(あま)町の総合振興計画づくりに関わり、異なる背景を持つ住民同士をつないで、町の将来像を考える場をつくったそうですね。 2009年に策定された町の総合振興計画づくりに向けて、約10年間のまちづくりの指針を住民とともに考えました。当時は、島に住み続けていた人、戻ってきた人、新たに移住してきた人との間に隔たりがありました。「こんな話、もういいから」と言われるくらい対話を繰り返すと、お互い色々なことが分かってきます。 移住してきた人は、なぜすぐにパソコンを広げるのか。ハイヒールを履いて島を歩くと「コツコツうるせえ」と地元の人に怒られるのはなぜか。お互いの疑問とその理由が分かり、次第に見方が共有されていくと、「あんたはそう言うと思っていた」「私が協力できる部分はここだね」と、コミュニケーションの質が上がります。海士(あま)町の港には、青く澄んだ海に漁船が浮かんでいた=2019年3月8日、島根県海士町、三浦惇平撮影 ――現役世代がいまの8割に減る2040年の「8がけ社会」に向けて、何を残して何を諦めるのかという難しい判断を迫られる場面が増えます。その時、対話はどんな意味を持ちますか。 これまでのやり方が通用しなくなる「8がけ社会」を迎えるにあたり、社会やくらしのあり方を再考する必要が出てきます。自分と違う世界観に触れ、当たり前とされてきた考え方を問い直さなければなりません。 ところが、現代は一人ひとりの自由や選択を重んじる社会です。個人が尊重され、一つの世界観を強要されることもない。多種多様な情報があふれ、細分化された趣味嗜好(しこう)の領域で気の合う人同士が集まればいいという世の中ですから、自分と違う世界観を理解し合う機会が少ない。だからこそ「8がけ社会」では対話がますます大切になります。便利とは別のところに生まれる熱量 ――山崎さんは、たとえ人口や経済の規模が小さくなっても、一人ひとりが主体的に地域や社会に関わることで充実した生活を送れる「縮充」という考え方を提唱しています。 熱量が低い10割社会よりも、熱量の高い「8がけ社会」の方が充実していると思います。社会が縮小する中で熱量を生むには、人々が単なる消費者ではなく当事者となり、享受するだけだった物やサービスを作り、担う側に回る必要があります。たとえ面倒でも、主体性を持って他者と関わり合い、自分たちの手で何かを生み出す中で楽しさや手応えを感じる。そうした過程が暮らしの充実につながり、熱量を生むのです。 ただ、お金を払って商品やサ…関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月10日 (土)ナビ・ピレイ氏に平和賞消費減税 法案を閣議決定給食調理室にエアコン格差10月9日 (金)プルデンシャル生命 社長謝罪ユニクロ、アパレル世界2位へ阪神の佐藤輝明が三冠王10月8日 (木)ノーベル化学賞に硤合憲三氏ビール大手4社に強制調査TOPIX銘柄大幅入れ替え10月7日 (水)簗氏発言 国交省の調査結果ノーベル物理学賞 受賞者発表ランサム集団キリンの男拘束トップニューストップページへ高市首相「日本の立場と相容れず深く懸念」 米国のICC制裁で投稿0:04ピレイ氏に平和賞 脅かされる「法の支配」ノーベル委の危機感と覚悟9:00簗氏からの問い合わせは「軽微」?国交省が記録作らないというわけは7:00イオン系食品スーパー、100店閉店へ インフレの逆風「想定以上」19:50医学部1年で統合失調症に 「人生終わった」と思い込んだ男性の願い9:00竹中直人さん 俳優人生を刻んだ父へ、最期に歌った「神田川」8:00