AI新世紀:中国で急拡大した「AI故人」 対照的な日本で起きた変化とは

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AI故人について語る文化人類学者の高木良子さん=東京都内で2026年5月18日午後3時36分、千脇康平撮影 生成人工知能(AI)の技術を使い、亡くなった人の姿や声などを再現しようとする試みがある。AI故人のサービス利用者や企業への調査を重ねている文化人類学者の高木良子さん(東京科学大大学院博士課程)に、国内外の動向などについて聞いた。【聞き手・千脇康平】 <主な内容> 新しい形の「終活」 急速に広がった中国の現在 対照的な日本 その理由とは 「余白」の意味故人の思い出を引き出すトリガー ――「AI故人」の利用者にインタビューを続けていますね。 ◆調査を始めた頃は、AI故人に対してよく言われる「利用し過ぎると依存してしまうのでは」という見方が、正直よく分からないと思っていました。私自身がそれを利用するイメージもまた湧かなかったからです。だからこそ、私と利用する方たちの違いは何なのだろうと、もっと深く立ち入って知りたくなりました。 実際に話を聞いてみると、使っている方たちは、どの方も故人とAI故人を別物と考えていました。そもそも故人とは別物ですから、「故人から離れられない依存」というのは成り立たないわけです。(亡くした直後の)急性期より、期間がある程度たってから冷静に利用している方が多い印象です。ある方はAI故人を「仏壇のようなもので、月命日に語りかけるのは同じこと」と話していました。同時に「故人との思い出を引き出すトリガー(引き金)になることには感謝している」ともおっしゃっていました。 ――AI故人は日本で広がってきていますか。 ◆AI故人を手がける複数の企業に話を聞いていますが、利用者数はまだまだ少ない印象です。ただ、AIをちょっと使える人なら素材さえあれば自作できますから、数字に表れてこない人もいるのではないでしょうか。自分の「デジタルツイン」を残す人もいます。自分が死んだらAI故人になるという新しい形の「終活」と言えますね。中国で先行して拡大 ――AI故人の国外の動向も研究されています。 ◆中国では、まず市場に小さく多様なサービスが生まれ、ユーザーがそれを試すというボトムアップの動きが先行しました。これに中国政府が即座に対応し、2023年8月施行の法令で、生成AIで「してはならないこと」を定めました。例えば▽政権の転覆や社会主義制度の打倒を扇動▽他者の肖像権・名誉・プライバシーなどの人格権を侵害――などです。欧米やアジアの国々と比べても、生成AI故人サービス利用者に特化した規則としては非常に早い対応でした。 同時に、中国政府はAIという技術そのものは国を挙げて推進しました。最低限のNGラインを国家が早く明確に引き、その内側では大いにAIを活用してよいという機運が作られたことが、AI故人もスピード感を持って広まった要因の一つと考えられます。 ――そうした状況は続いているのですか。 ◆25年から今年にかけ、中国のAI規制は急速に細かく整えられてきました。それがAI故人にも及ぶようにはなってきています。例えば、AI乱用の取り締まりキャンペーンの対象に、AIによる「故人の復活」の不当な使用が明記されました。26年9月には最高人民法院(最高裁)が、AIで故人の姿を他者が無断で作った場合、遺族が民事責任を追及できることを明記した意見を出しました。日本で広がらない理由 ――日本でなかなか広がらないのはなぜでしょう。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】死者の尊厳って?「AI故人」がもたらした根源的な問いの難しさ関連記事【最新記事】