チャットを漫画化する伝説的ソフト「Microsoft Comic Chat」がオープンソース化

Wait 5 sec.

Microsoftが1990年代に開発したコミック風チャットクライアント「Microsoft Comic Chat」が、ついにオープンソースとして公開されました(Microsoft Open Source Blog)。Microsoft Comic Chatは、IRCのテキストチャットを漫画のコマ割りで表現するという斬新な発想のソフトです。当時のインターネット文化を象徴する存在として、レトロコンピューティング愛好家や開発者にとっては貴重な歴史的資料といえます。Comic Chatとは何だったのか1990年代半ば、オンラインチャット(IRC等)は文字が流れるだけのシンプルな世界でした。そんな中でComic Chatは、ユーザーをキャラクターとして描き、発言内容に応じて表情やジェスチャーを自動生成し、会話を漫画のコマとしてレイアウトするという革新的な体験を提供していました。「怒っているような文なら腕を組む」「自分を指すような文ならキャラが自分を指差す」など、テキスト解析によるリアルタイムの演出は、現在のスタンプや絵文字、リアクション文化の原型とも言える発想です。Comic ChatはMicrosoft ResearchのVirtual Worlds Groupで生まれ、Visual C++ 4.0とMFCで構築されました。SIGGRAPH ’96で発表された論文では、会話の内容から適切な表情・ポーズ・レイアウトを選び出す「自動イラスト生成」の実験として紹介されています。ビジュアル面を担当したのは、独特の作風で知られる漫画家Jim Woodring氏です。実際のチャットログを渡して漫画化してもらい、その結果をもとに「このアイデアは本当に成立するのか」を検証したというエピソードも語られています。なぜ今オープンソース化するのかComic Chatは、インターネット黎明期の、まだ何も決まっていなかった時代の自由な実験精神を象徴する存在です。今回の公開は、その歴史を保存し、コミュニティが学び、遊び、改良し、新しい形に発展させるためのものだとされています。公開されたコードには、当時のスナップショットだけでなく、現代のVisual Studioでビルドできるようにした試行的なモダナイズ版も含まれています。最新のIRCサーバーに接続できるようにした例もあり、レトロソフトを現代環境で動かす楽しみが広がっています。Comic Chatが残したものComic ChatはWindows 98に同梱され、日本語を含む24言語にローカライズされるほど本気で作られたプロジェクトでした。「チャットを漫画にしたらどうなる?」という遊び心から生まれたソフトが、30年後に再び注目されるのは、当時の開発者たちの自由で大胆な発想が今も魅力を失っていないからといえます。オープンソース化によって、Comic Chatのコードを読み、動かし、改造しすることができます。生成AIが存在しなかった時代にどのようにチャットを漫画化していたのか興味がある方は参考にしてみてはいかがでしょうか。