【八王子実践-鳴門渦潮】九回表の攻撃で指示を出す八王子実践の河本ロバート監督=阪神甲子園球場で2026年8月9日、岩本一希撮影 時に厳しく、時に優しく選手たちの成長を見守ってきたからこそ、あふれる思いがある。 第108回全国高校野球選手権大会で、各代表校の監督たちは試合後のインタビューで思いの丈を語った。 敗れた時、どんな思いを抱いたのか。紡がれた言葉を振り返る。(勝者編と敗者編の2回に分けて紹介します) 勝者編は20日7時に配信します8月9日・1回戦○鳴門渦潮(徳島)2―1八王子実践(西東京)●八王子実践・河本ロバート監督 <同点とした九回にはスタンドから大声援が飛んでいました> 本当にありがたかったです。初めての甲子園で、私を含めて緊張していましたが、九回に同点に追いついて球場のみなさんがやりやすい空気感を作ってくれました。Advertisement <試合中の選手たちはどんな表情をしていましたか> ロースコアの展開で、後半になると笑顔は自然と少なくなって引き締まった顔になりました。 同点になった時も油断しているような笑顔はなかったです。延長に入って「まだまだいけるぞ」と声をかけ合いましたが、力及ばずでした。 <選手がいい顔でプレーできるために気をつけたことはありますか> 今までやってきたことを信じる戦いだと思っていますので、もし不安そうな表情をした時にはこちらが少し笑顔をはさんでみたり、大きな声で鼓舞したり。 私も勝負に集中していたので、どんな顔をしていたか思い出せないですが……。8月10日・1回戦○日南学園(宮崎)2―1明徳義塾(高知)●明徳義塾・馬淵史郎監督【明徳義塾-日南学園】試合前にグラウンドを見つめる明徳義塾の馬淵史郎監督=阪神甲子園球場で2026年8月10日、岩本一希撮影 最初の方は、うちにちょっとツキがあるような感じでね。でも、ミスするとダメですね。甲子園は。ちょっとしたミスで流れが変わる。そう感じましたね。 あと一押し。追加点が取れるチャンスがあるのに取れない。中盤あたりから嫌な感じになってきました。逆に向こうはしのいでね。あのへんが勝負のあやでしょうね。 でもね、よくやったと思いますよ。新チーム結成の時は長打力もない、140キロを超えるピッチャーもいない。守備、バントを絡めてという、ザ・高校野球じゃないけど、一生懸命やればここまではやれると証明したというかね。 <70歳になっても情熱を燃やすエネルギー源は?> 僕は野球ほど面白いスポーツはないんじゃないかと思っています。だから気力と体力が続く限り、学校はやれと言ってくれてはいるんですけど、もうそろそろ。70歳過ぎてやっていたら、ちょっと笑われるような気がして。後進も育ってるし、あと2年ぐらいはやってね。バトンタッチしたい。もう何年もやる気はありません。やめるんやったらやめる年に公言しますから。8月10日・1回戦【横浜-沖縄尚学】沖縄尚学の比嘉公也監督=阪神甲子園球場で2026年8月10日、岩本一希撮影○横浜(神奈川)7―2沖縄尚学●沖縄尚学・比嘉公也監督 うちの3人のピッチャーがここまで捉えられると勝ち目がないかなというのが率直な感想です。 (大会連覇の)プレッシャーがある中、甲子園に戻ってきただけでもすごく評価ができると思うので、負けはしましたが、自分たちの力を一人一人出すことはできたのではないかと思います。8月11日・2回戦○敦賀気比(福井)10―0横手(秋田)●横手・山信田善宣監督【敦賀気比-横手】横手の山信田善宣監督=阪神甲子園球場で2026年8月11日、吉田航太撮影 <アルプス席は超満員でした> 秋田県の球場よりも自分たちのベンチに応援が聞こえる環境でしたので、すごく心強く背中を押してもらって戦っていたなと思います。 <57年ぶりの夏の甲子園出場でした> ずっと固く閉ざされていた扉をこじあけたという意味では今の子供たち、本当にすごい学年だなと思います。 今まで、思いが届かなかった先輩たちの分も、そういった思いも背負って戦えた経験は貴重だなと思います。8月11日・2回戦○履正社(大阪)6―2享栄(愛知)●享栄・大藤敏行監督 秋まではバラバラだったが、何とかみんなで、というのが見えるチームになりました。人間的に成長してくれたと思います。 3年生が一番泣いていた。自分が出場できなくても、自分のチームだ、という意識でいてくれた。また、そういうチームができたのは私の誇りでもあります。 <31年ぶり出場。新しい享栄の姿を見せられたか> 伝統を積み上げていくということなので、OBも喜んでいただけた。最後まで諦めずにやったということは評価されるんじゃないかと思います。 最後、点差は広がったが、先輩たちが頑張ってきた伝統に、恥じない戦いを生徒はしたと思います。8月11日・2回戦○三重5―3松商学園(長野)●松商学園・松宗勝監督【松商学園-岡山学芸館】松商学園の松宗勝監督=阪神甲子園球場で2025年8月12日、西夏生撮影 <メンバー外を含めて3年生に伝えたいことは> うまくいかない思いを持っていたと思いますし、さまざまな感情は当然持っていたと思うんですけど、言葉だけじゃなくて行動で、グラウンドでの姿で証明してくれたと思います。 チームの勝利のために全員が心一つにそろえてやっている姿っていうのは本当に素晴らしいし、なかなかできることではないので。素晴らしい3年生でした。 <監督は高校時代、メンバー外だったと聞きました。その経験が生きていると感じますか> 当時はやっぱり試合に出たい、甲子園に出てプレーしたいって思っていました。 でも今、この立場になって年を重ねて逆にメンバー外でよかったなと。ケガもしましたし、浪人もしましたし……。人生の9割ぐらいはうまくいっていないんですけど……。逆にうまくいっていなくてよかったなと。 そういう失敗するとか、うまくいかない経験を伝えることで、どうやったらうまくいくのかって考えることもできると思いますし。自分はそれで指導しています。8月15日・3回戦○仙台育英(宮城)6―3拓大紅陵(千葉)●拓大紅陵・坂巻展行監督拓大紅陵の坂巻展行監督=阪神甲子園球場で2026年8月15日、西夏生撮影 うちの選手たちは中学時代そんなに飛び抜けた実績のある選手ではなかったが、それでも互角に実力のあるチームと戦えました。 最終回もその前も、選手の気持ちの強さ、諦めない気持ちには頭が下がりますね。私の方が選手たちに「ありがとう」と言いたい。 <(豪雨被害のあった地元千葉から駆けつけた)アルプス席の大応援団が最後まで選手たちの背中を押した> すごかったですね。千葉があれだけ大変な状況で足を運んでいただいた。 テレビの前でも応援してくださったと思います。本当にありがたい。千葉大会からそうですけど、甲子園にきてからより一層感じました。 吹奏楽部をはじめ応援してくださるみなさんに、「ここでやりたい、私たちを甲子園に連れて行ってください」と言われていた。 やっと今年できた。応援がこんなに力になるというのを今大会、感じました。8月18日・準々決勝○智弁和歌山11―3仙台育英(宮城)●仙台育英・須江航監督仙台育英の須江航監督=阪神甲子園球場で2026年8月5日、渡部直樹撮影 <相手の力が上回ったと感じたところは?> シンプルに敗因は何ですかと聞かれれば、監督の年間を通したマネジメントと、あとは一人一人の発揮能力が相手に及ばなかった、総じて力負け、シンプルに力負けです。打球の強さ、速さ、守備のここ一番の粘り、投手の制球力を含めて全て力負けなので完全にノックアウト負けです。 <2年生が多いチームでした> 下級生が多かったけど中心は3年生でした。 「この負けが来年のための敗戦」なんてそんなに安いことは言えないです。 3年生は今年しかないので。「2年生が来年のために良い経験積みました」なんてそんな軽いことも言えません。 ただ試合が終わった後の2年生の表情を見ていたら感じるようなものがあるように見えました。 涙の質や表情を見たら、来年の春や夏に絶対に優勝するんだぞっていう決意を感じられたのは事実です。それは頼もしいと思いました。