迫る毎日新聞 2026/10/1 10:01(最終更新 10/1 10:01) 有料記事 3113文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷杉の香りが立ちこめる麴室で酒造りについて語る石川達也さん=東広島市西条本町で2026年9月6日、佐藤賢二郎撮影 「酛(もと)」は、アルコール発酵の主役となる酵母を大量に培養する液体だ。全2回の後編です。前編はこちら 「西条酒造学校」再び「伝統的酒造り」第一人者が挑む技術継承 蒸した米と水、麴(こうじ)を混ぜたものに酵母と乳酸(菌)の力を借りて造る。 元来は自然界の乳酸菌を取り込んでいたが、現在は別に人工的に作られた乳酸を加える「速醸酛」を使うのが主流だ。 乳酸菌などを利用する酛が「生酛(きもと)」で、「生酛」の工程の一部を省いたものが「山廃酛(山廃仕込み)」と呼ばれる。 生酛造りは江戸時代に発達した伝統的手法。正確な製造割合は不明だが、業界では「速醸90、山廃9、生酛1」と言われたこともあるほどだ。 現在主流の速醸酛に比べ、時間も手間も倍以上かかるが、味わいに幅や奥行きが出る。近年その価値が見直されつつあり、生酛に取り組む酒造会社も増えている。 酒どころ広島・西条の酒造会社「福美人酒造」(東広島市)で、杜氏(とうじ)として伝統的な酒造りと技術継承のプロジェクトを進める石川達也さん(62)が重視するのもこの生酛造りだ。すべてを変えた、一本の酒 福美人酒造で仕込む日本酒は全て生酛にする。 石川さんが生酛など伝統的酒造りに強くひかれるようになったのは学生時代にさかのぼる。 1964年、西条で生まれた。父も酒造関係者で、地元大手の賀茂鶴酒造に勤めていた。 酒はいつも身近にあり、早稲田大に在学中、酒に傾倒するのは自然なことだった。 在学中は風呂のないアパートに住み、服装にも無頓着。バイト代をほぼ酒につぎ込んだ。部屋には食品を入れる冷蔵庫に加え、日本酒保管用の冷蔵庫も置いていた。 「他のものを食べたら舌が汚れる」。新しい酒の封を切る際は、何も付けない「冷ややっこ」をさかなにした。背筋を伸ばし、香りを嗅いで口に含む。酸味や甘みを分析するなど、審査員のように酒を評価していた。 「あのままだったら、単なる酒好きで終わっていた。一つの酒との出合いが全てを変えた」 それが、神亀(しんかめ)酒造(埼玉県蓮田(はすだ)市)の純米酒だった。 最初に口に含んだ時はぴんとこなかった。際立つ香りがあるわけではなく、味わいも地味。それなのに、気がつくと、体がリラックスしている。 「酒はおいしさだけではなく、人間の肉体と精神にまで影響を及ぼすのか」。目からうろこが落ちた。 在学中の90年、神亀酒造に飛び込んだ。 当時、製造途中で醸造用アルコールなどを添加した日本酒が今より圧倒的な主流だった中、神亀酒造は「本来の酒は純米酒」の考えの下、全量純米酒で仕込み、同業者から驚かれていた。 4年の修業を経て、家庭の事情で広島で新たな酒造りの場を探し、竹鶴酒造(広島県竹原市)に移った。 魅せられた純米酒の造りを実現したい。それには大手より、小規模な酒蔵の方が可能性があると考えてのことだった。 生酛造りに挑戦したのは、杜氏になって8年後の2004年。酒造指導で訪れた広島国税局の鑑定官室長に酒を褒められ、「目指す酒にしたいなら生酛造りをすべきだ」と強く勧められた。それから本格的な追求が始まった。AIにはない「不確定」から生まれるもの 生酛は、乳酸菌など微生物のせめぎ合いの中で淘汰(とうた)が進み、最終的に酵母菌によるアルコール発酵が進む。江戸時代に発達した技術なのに、学べば学ぶほど理にかなった奥の深さを実感している。 こうした経験に基づき、石川さんは自身の酒造りを「放し飼い」と称する。 通常、杜氏は酒を仕込む前にできあがりの味や香りを決める。 そこから逆算し酵母などを選び、発酵をコントロールしていく。だが、石川さんはそれをしない。生酛を追い求め、たどり着いた結論だ。 「ほったらかし」という意味ではない。杜氏の役割は、酒造りに関…この記事は有料記事です。残り1553文字(全文3113文字)Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>