2026年7月22日 17時20分松島研人名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したウィシュマさんをめぐる国賠訴訟の結審後、会見する妹のポールニマさん(右)ら=2026年7月22日午後3時38分、名古屋市中区、宋禹瞳撮影 2021年に名古屋出入国在留管理局でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が収容中に死亡した問題で、遺族が国に計約1億5600万円の損害賠償を求めた訴訟が22日、名古屋地裁で結審した。 ウィシュマさんが亡くなって5年4カ月余り。遺族側は、この日の弁論で「助ける時間は十分にあったのに、最後は声も出せずに命を落とした。こんなことが二度と起きないよう、道しるべになる判決を」と訴えた。判決は12月11日に言い渡される。 ウィシュマさんは20年8月に名古屋入管に収容され、21年1月以降、体調不良を訴え、3月6日に死亡した。遺族が22年3月、国に賠償を求めて提訴。口頭弁論は計26回に及んだ。 訴訟で大きな争点となったのは、ウィシュマさんに対し適切な医療措置が提供されたか、入管の対応と死亡に因果関係があるかだ。入管で診察した非常勤医師1人を含め、医師・専門家ら計4人への証人尋問を実施し、医療判断の合理性などが審理された。 遺族側が特に問題視しているのは、21年2月にあった2回目の尿検査の結果を受けた対応だ。体の維持に必要な糖が不足したときに生成される「ケトン体」の数値が飢餓状態を示唆する「3+」で、1月にあった1回目よりも悪く出ていた。非常勤医師は、ストレス性による体調不良を疑い、精神科の受診を指示した。 ウィシュマさんはその後、入管職員に「病院の点滴お願い」などと訴えたが、「私パワーないからできない」「ボスに伝えるけど」などと言われる様子が監視カメラに残されていたという。 非常勤医師は、診療時間外の症状の一部や訴えに関し、職員から報告を受けていたかは「記憶にない」などと証言。遺族側は「入管におけるコミュニケーション体制が絶望的なまでに欠落していた」と非難し、適切な治療がされていれば、死亡しなかったと訴えた。 一方、国側は「医療対応に違法は認められない」と主張。2回目の尿検査の3日後にあった診察時には意識障害などは確認されず、食欲不振を改善できればケトン体の数値も下がると見込まれることから、原因究明のために精神科を受診させた治療方針には合理性があったなどと訴えた。 また死亡の原因や機序は不明で、取るべきだった結果回避措置も特定できないと主張した。ウィシュマさんの国賠訴訟をめぐる経緯〈2017年6月〉 留学生として来日〈18年6月〉 留学先の日本語学校が「所在不明」を理由に除籍〈20年8月〉 不法残留容疑で逮捕。名古屋入管に収容〈21年1月15日〉 食欲不振などを訴える。以降、体調が悪化〈1月26日〉 1回目の尿検査〈2月5日〉 外部病院の消化器内科を受診。目立った異常は見つからず〈15日〉 2回目の尿検査〈23~25、27日〉 外部病院の受診や点滴を訴える〈3月4日〉 外部病院の精神科を受診。診断結果は「身体化障害(ヒステリー)あるいは詐病の疑い」〈6日〉 搬送先の病院で死亡確認〈22年3月〉 遺族が国に損害賠償を求めて提訴〈26年7月22日〉 訴訟が名古屋地裁で結審〈12月11日〉 判決言い渡しの予定 (入管庁の調査報告書や裁判資料などによる)この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録この記事を書いた人松島研人名古屋報道センター専門・関心分野地方行政、平和、防災関連トピック・ジャンルこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月22日 (水)積極財政へ「新しい投資枠」高速度や飲酒運転に数値基準1都3県 平均価格「億ション」7月21日 (火)スペインがサッカーW杯優勝「国民の理解得られぬ」60%生サーモン 国産が急成長7月20日 (月)市長の産休、賛否はほぼ同数認知症の行方不明者、1.7万人佐々木麟太郎、マーリンズへ7月19日 (日)京アニ事件7年で追悼式上半期の訪日客、2.0%減協業ポケットウォッチが話題トップニューストップページへ山田五郎さん死去、67歳 西洋美術の魅力を紹介 「アド街」出演15:03トランプ政権の10%関税、24日失効 新措置で高関税政策は継続か17:00ウィシュマさん訴訟が結審、判決は12月11日 医療提供適切か争点17:20コロナ死者、2025年は2万1497人 多くは65歳以上の高齢者13:00維新こだわりの副首都法案、大阪府民は意外と冷めた視線 朝日世論16:00ロウソクを消してくれる美帆がいない 兄「妹は一生懸命生きていた」12:00