強い日差しのなか、日傘をさし、小型扇風機を持って歩く人たち=2026年7月21日午後1時30分、名古屋・栄、溝脇正撮影 40度以上の「酷暑日」を記録するなど危険な暑さが続いている。夏休みも始まり、子どもの熱中症にも対策が必要だ。子どもは自身で症状を説明できないことも多い。どんな変化に気を付ければ良いのか。熱中症の患者を日々診ている救急医に聞いた。 「子どもの熱中症の前兆として、ぐずったりちょっと機嫌が悪かったりする。気にしてもらうことが大事です」。名古屋大学医学部附属病院(名古屋市)救急科長の山本尚範医師は、こう指摘する。 40度以上の酷暑日を記録するなど文字通りの「酷暑」が続く東海地方。勤務する病院にも熱中症とみられる患者の搬送が急増している。「救急車が15台来たとしたら、熱中症関連が3分の1」と話す。部活動で熱中症になった10代の子どもの搬送もあるという。 身近にいる保護者らができることは何か。 体の不調を言葉で伝えられない赤ちゃんや小さな子どもの場合、機嫌が悪くなったり、いつもより食欲が落ちるなど様子が違ったりする。「この時期は暑さが原因と考えた方がよい」と言う。 真っ赤な顔で大量の汗をかいている場合も熱中症の初期症状。さらに重度の場合には脱水症状が進み、体内の水分がなくなるため汗をかけなくなり、救急搬送が必要になる。 もし発症した場合の応急処置は、首や脚の付け根、わきの下など、太い血管がある箇所を冷やす。意識がある場合は、可能であれば体を氷水につけさせる。山本医師は「早期冷却が大事。冷たい水で体を冷やすのは効率がすごくよい」と話す。 意識がない状態だと溺れてしまうなどの危険もある。服をゆるめて全身に水をかけてあおいだり、冷たいぬれタオルをあてて風を送ったりしながら、救急搬送を待つ。 ぐったりしている、自分で水分が取れない、普段と違うことを話しているといった意識障害が疑われる場合にはすぐに病院への搬送が必要。意識がしっかりしているかどうかが重症化の最大の分かれ目だという。 また、「世の中の方たちが思っている以上に、脱水が熱中症の原因の一つ。おしっこの色を見る、という方法がある」と山本医師は続ける。 尿の色が薄ければ水分を取れているが、逆に色が濃いと脱水状態という証拠だという。汗以外にも自然と体内の水分は失われる。体内の水分量がどれくらいなのかは測定できないため、子どものおしっこの色を見て脱水状態を確認し、水分補給を促すことが良いという。 尿の回数が少ないことも脱水状態の表れのため、こまめに水分を取らせるようにする。ほかにも、泣いているのに涙が出ない、肌が乾燥しているというケースも脱水症状の一つだという。 夜、寝ている間にも水分は失われる。朝起きた時の水分補給だけでなく、「意識的に朝ご飯を食べた方がよい」と言う。朝食で塩分を補給することも大切だ。 「基本的に人は朝起きた時に脱水状態になっている。それで一日をスタートさせ、出掛けて汗をかくと極端な脱水状態に。お昼ごろに熱中症で運ばれてくる人が多い印象があります」 外で遊ぶ場合は、こまめな水分補給、休憩が必須。山本医師は「元気に動けばそれだけ体内で熱が発生する」と指摘する。 また、子どもは体重に比べて体表面積が広く、外気の暑さの影響を受けやすいとされる。遊びに夢中になって水分を取らなかったり、休まなかったりする状態は危険なので避ける。 熱中症で命を落とす人も増えている。子どもの小さな変化も見逃さず、対応したい。▽症状・めまい、顔のほてり、筋肉のこむら返り・体のだるさ、吐き気、頭痛・異常な発汗や高体温、意識障害など▽予防・のどが渇く前のこまめな水分、塩分補給・暑さ指数を確認。日差しが強い時間帯の外遊びはなるべく避ける・熱がこもらず、薄い色の服装。日よけの帽子も・適度な休憩をとらせる・室内ではエアコンを利用。扇風機を併用し、子どもが過ごす場所などに冷気を循環させる