築95年近くたつ銭函駅の駅舎=小樽市で2026年9月29日午後2時39分、森原彩子撮影 JR銭函駅(北海道小樽市)は函館線の札幌駅と小樽駅のほぼ中間に位置し、石狩湾を望む海岸沿いにたたずむ。列車を降りると、ふっと潮の香りが漂ってくる。小樽市銭函エリアは、駅から徒歩圏内に海水浴場があり、背後に山並みが連なる景観から、「北の鎌倉」とも呼ばれる。 駅の歴史は北海道で最初の鉄道の開通までさかのぼる。石炭輸送を主な目的として札幌―手宮駅間が開通したのに伴い、1880年11月に開業した。道内で最古の駅の一つだ。駅の屋根にトレードマーク 駅周辺の地域には江戸時代後期からニシンの豊漁地として集落が形成された。地名は漁師の家に「銭箱」が積まれていたことに由来するという説がある。 地元住民による歴史研究会「銭函郷土史研究会」によると、鉄道開通は銭函に鉄道関係者や運送関係者、商人などの移住を促し、1903年に海水浴場、28年にゴルフコースが開設され、地域はさらににぎわいを見せたという。 現在の駅舎は2代目。31年に建設され、今年で築95年を迎える。地名にちなんで78年ごろから屋根につるされたのが、駅のトレードマークにもなっている「銭函」と記された縁起物の木箱だ(安全確保のため、2010年からは改札口付近のホーム脇に移動)。 昭和のたたずまいを残しながら、17年にエレベーター、スロープ、多機能トイレなどのバリアフリー設備を充実させた。 駅前には昔ながらの商店のほか、海を眺めながらくつろげるカフェやレストランが点在し、ゆったりとした空気が漂う。「海と雪が同時に見られる」 25年6月に着任した曵地直行駅長(50)は、それまで伊達市の伊達紋別駅で勤務していた。この駅も内浦湾に面している。「海が近くて、歴史を感じる。すごく伊達紋別駅と雰囲気が近いと感じました」と笑う。 銭函駅の1日あたりの平均乗車人数(25年)は1637人。少子化などによる地元客の減少を背景に、30年前と比べて約4割減った。ここ数年の乗車人数はほぼ横ばいで推移しているが、20~24年は微増。SNSや映画が新たな人の流れを呼んでいるという。 「雪と海が同時に見られる駅として『バズった』ようなんです」 曵地駅長はこう説明する。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事