経済プラス:中国製自動車席巻で理念曲げるEU 日本も「不利を被る可能性」

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さまざまな車種が並ぶ中国のEV大手メーカー「比亜迪(BYD)」の販売店。欧州市場でもシェアを拡大中だ=ブリュッセルで2026年2月2日、岡大介撮影 中国勢の席巻などで、欧州自動車業界が苦境に陥っている。 危機感を強めた欧州連合(EU)は、理念としてきた自由貿易推進や気候変動対策を曲げるような政策に傾き始めた。 そのなりふり構わぬ姿勢は、日本企業にも影を落とし始めている。高関税と輸入半減で歯止め狙うが… 「北京での協議が、最初の成果をもたらした」。EUの行政執行機関トップのフォンデアライエン欧州委員長は16日、EU首脳会議後の記者会見でこう述べ、胸を張った。 「成果」とは、中国からのハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の輸入抑制策だ。世界貿易機関(WTO)が定める緊急輸入制限(セーフガード)の発動を中国が受け入れた。 合意内容は、2026年の輸入量を年間80万台規模と見積もった上で、年35万台と従来から約半減した輸入枠に制限する。期間は4年間で、輸入枠は年6%ずつ増やす。 EUと中国が8、9日、北京での閣僚級の貿易協議で合意した。 そもそもEUでは、24年から輸入が急増していた中国製の電気自動車(EV)に最大45・3%の関税を課している。 ところが、今度はPHVの輸入が拡大した。 英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、中国製PHVのEU域内シェアは26年上半期25%に達し、24年の2%から激増している。高関税のEVも鈍化はしたものの堅調だ。 EUは、中国が内需の弱まりで行き場を失った商品を世界市場に送り込もうと、過剰な補助金を支えに安値攻勢を仕掛けていると批判する。 今回の合意でひとまず輸入量を抑え、不振にあえぐ域内自動車産業を立て直す「時間稼ぎ」(欧州委OB)ができた。 一方の中国にとっては「譲歩」といえる合意だが、国際的影響力が大きいEUとの全面的な貿易戦争は避けようと、落としどころを探っていた。高関税政策などで行動が予想しにくいトランプ米政権との対立を抱えているためだ。 とはいえ、EUの対中貿易赤字額は25年で約3600億ユーロ(約64兆円)という「持続不可能」(フォンデアライエン氏)なレベルに達している。26年はさらに増加しそうだ。 フォンデアライエン氏は16日の会見で「1分野だけでは、貿易の構造的な不均衡は直せない」とも述べ、化学製品など自動車以外の分野でも譲歩を迫る考えを隠さなかった。あるEU高官は「今後も対話と防御策を編み出す両面で対応を続ける」と解説する。 そしてEUは更なる産業保護のため、従来の施策をひっくり返しかねない手まで打とうとしているのだ。「握った」独仏 フォン…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】予算編成の「聖域」にメス 歳入言及を可能にした「財務省排除」関連記事