読む政治:「台湾有事」答弁で対中関係悪化、幅を失い 高市外交1年

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米原子力空母ジョージ・ワシントンの艦内でトランプ米大統領(右)に紹介され、兵士たちの歓声に応える高市早苗首相=神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地で2025年10月28日午後4時19分、後藤由耶撮影 高市政権発足から1年がたった。「師」と仰ぐ安倍晋三元首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を引き継ぐ意味で「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」を掲げてスタートしたが、展開した外交は実際にどうだったのか。米政治外交史などが専門の三牧聖子・同志社大大学院教授に「高市外交」に対する評価を聞いた。【聞き手・木下訓明】「国際主義の米国」はもう戻らない諦観を 高市早苗政権の外交は「台湾有事」を巡る国会での首相答弁による対中関係の悪化で、幅を失ってしまった。中国との関係改善が見通せない中、「米国だけは怒らせてはいけない」との判断から、柔軟な対応がとれていない。だがその米国は、第2次トランプ政権の下、単独行動主義をますます強めている。トランプ大統領退任後にかつてのような「国際主義の米国」が戻ってくる保証はない。ある種の諦観に立って、日本は対米関係を管理・維持しつつ、それを補うための外交の多角化を進めるべきだ。 首相は就任まもない昨年10月末に韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて中国の習近平国家主席と初の首脳会談をし「戦略的互恵関係」を確認した。しかし翌11月の衆院予算委員会で、台湾有事は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると答弁。中国との関係を決定的に悪化させ、いまだに首脳会談への道筋は見えない。 この事態を受けて日本は、対米関係は絶対に揺らがせられない、との認識で行動してきた。トランプ政権は2月、イスラエルと共にイラン戦争を開始。欧州などからは国際法違反を問題にする声が上がり、トランプ氏との緊密な関係を誇ったイタリアのメローニ首相でさえ「イラン戦争は国際法の範囲外」と批判した。8月にはイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC、本部=オランダ・ハーグ)の職員に続き赤根智子所長に対しても制裁を科した。これを欧州各国や欧州連合(EU)などは非難し撤回を求めている。 しかし、トランプ政権が国際法や国際秩序を深刻に脅かす現状に、日本政府は確固たる反対を示せていない。イラン戦争に対する国際法上の評価はいまだに示していない。赤根氏制裁についても、高市首相は当初「大変残念」と述べるにとどめた。その後、国内外からの批判を受けて「日本の立場と相いれるものではなく、大変深刻」と踏み込んだ。米国による軍事行動や全く不当なICC制裁に対しても、まともな批判ができない。悪化した対中関係が大きな拘束になっている。日本をよそに米中は…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】減税と増税、同時議論「ちぐはぐ」 安保文書協議、足踏みの理由関連記事【最新記事】