対談に臨む作家の宮部みゆきさん(左)とジャーナリストの池上彰さん=東京都千代田区で2026年10月2日、内藤絵美撮影 多彩な作風で読者を魅了する作家の宮部みゆきさん。ジャーナリストの池上彰さんが、創作の原点からこれまでの歩み、そして、今考えていることに迫った。 全2回の後編です。 前編 作家・宮部みゆきさん 好きで読んだ本から「書きたい」と40年 ミステリーの技巧、ドラマからも 池上 そもそも「作家・宮部みゆき」がどうやって作られたのか。子供の頃の読書体験で、自分に影響を与えた本って何がありました? 宮部 私の世代が子供だった頃は本が高かったですよね。基本は図書館で借りたり、家がお金持ちのお友達に貸してもらったり。子供向けの江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズや、シャーロック・ホームズのシリーズ、アガサ・クリスティーの作品も早い段階から読み始めました。「グリーン家殺人事件」という古典も、犯人が意外でよく覚えています。ミステリー好きの子供としては正しいルートを通ったと思います。松本清張は高校生くらいから読み始めました。 池上 伏線を張って回収するというようなことを、知らず知らずのうちに体得したんじゃないですか? 宮部 ミステリーの技巧は、ドラマからも学びました。「弁護士ペリー・メイスン」とか「刑事コロンボ」とか。 池上 そして、現代の問題を切っているはずが、なぜか時代ものを手掛け、さらにファンタジーも。 宮部 「模倣犯」(2001年刊)を執筆する少し前から、被害者の側には全く読み解けない理不尽なストーリーが犯人の側にだけあって、それに被害者も社会も翻弄(ほんろう)されるという事件が出てきて、私はそれが怖かったんですね。具体的には東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988~89年)や、オウム真理教による一連の事件も頭にありました。それを自分なりに消化するために「模倣犯」を書いた。 書き終えて、自分でもやりきったなと思いましたし、高く評価もしていただけて、たくさんの読者に読んでいただいた。本当に幸せな作品になったんですけど、かなり疲れちゃったんですね。いやあ、しん…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】作家・宮部みゆきさん 好きで読んだ本から「書きたい」と40年関連記事