作家の宮部みゆきさん。2027年にデビュー40周年を迎える=東京都千代田区で2026年10月2日、内藤絵美撮影 作家の宮部みゆきさんは、「火車」「理由」といった社会派ミステリーや時代小説、ファンタジー、さらに近年は俳句に着想を得た短編と、多彩な作風で読者を魅了する。ジャーナリストの池上彰さんが、創作の原点からこれまでの歩み、そして、今考えていることに迫った。 全2回の前編です。後編へのリンクは文末に 今はのんびり執筆 池上 来年、作家生活40周年を迎えられます。 宮部 そうなんです。1987年9月にオール読物推理小説新人賞をいただいてデビューしてから、あっという間でした。 池上 長編の執筆には体力が要りますね。 宮部 今はのんびりしたペースで仕事しています。2022年夏に新型コロナウイルスに感染して、出かけられないので仕事部屋を片付けたんですね。段ボール箱に古いカレンダーが入ってたんです。予定を書き込んであるから、捨てるのも恥ずかしくて、とりあえず取っておいた。出してみたら、どうやってこれだけ書いてたんだろうっていう過密スケジュールで、びっくりしました。 その間にも、テレビゲームやカラオケで平気で徹夜してました。今思うと、なんでこれで元気でいられたんだろうって。ただ、半年に1回くらい電池切れで休んでたんですね。それがカレンダーに、赤のバツ印として全部残ってて。だから今、書き盛りの若い作家の方には「忙しいでしょ。でもね、後で振り返ると楽しいから頑張ってね」って言っています。 池上 今は体に気をつけていらっしゃる? 宮部 50歳を過ぎてから近所の公園でウオーキングを。その頃にはもう、現代小説より時代小説を書く割合の方が多くなっていて、公園で見かける動物や、四季折々の風景がすごく参考になりました。やりたかったドキュメンタリー 池上 まず現代小説でいうと、「火車」(92年刊)ではクレジットカードによる自己破産を扱っている。「理由」(98年刊)はバブル期のマンションブームを。その時々の現実を映し出しています。 宮部 執筆当時、私が一番怖いと思…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【次の記事】フィクションには油断ならない面が 宮部さんが考える「危うさ」【前の記事】「知らない」は恥ではない 池上彰さんも指摘、わかりやすさの罠関連記事