最近はがき書いてます? デジタル時代に心揺さぶる手書きの良さ

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2024年に63円から85円になった郵便はがき。はがき離れに拍車がかかっている=福岡市中央区の福岡中央郵便局で2024年11月1日午前10時32分、平川昌範撮影 記事を書いた後、読者から感想のはがきをいただくことがあります。裏面では収まらず、表面の宛名の余白にもびっしりと手書きされたはがきを見ると、思いを伝えたい熱量を感じ、励みにもなります。新聞や本もデジタルメディアで読むのが当たり前の今なお、はがきに心を揺さぶられるのはなぜなのでしょう。はがきの良さ、書くことの意義を考えます。文字の個性って「面白すぎ」 2027年用のお年玉付き年賀はがきが11月2日から販売される。日本郵便によると、当初発行枚数は約5億5600万枚で、前年比25・7%減だ。 思えば、新年のあいさつがLINEやメールに置き換わるようになって久しい。16年連続の発行減と聞けば、はがきが身の回りから姿を消しつつあるのを実感する。しかし……。 「インターネットでは伝わらないぬくもりが、手書きのはがきにはあります。『肉筆』というくらいですから」 そう語るのは、書道家の武田双雲さん(51)。3歳で母に師事して以来、長年の精進で独創的な作風を作り上げてきた。 はがきについて質問を重ねると、こんなエピソードを披露してくれた。 熊本県から上京した大学時代、最初のアルバイトが郵便局での年賀状の仕分け作業だった。まだまだ手書きが主流の1990年代、目を引いたのは膨大な数のはがきに記された、個性豊かな文字だった。 手書き文字には「人となり」が表れるという。今でも思い出すのが、東京の「東」の字。左払いが大幅に張り出し、宛名に覆いかぶさるほどの勢いだった。一枚一枚が「面白すぎました」と振り返る双雲さん。しかし仕分け作業は遅々として進まず、「早くやれ」と怒られたとか。 スピード偏重の時代にあって「こなす」感覚ではなく、手間ひまをかける点にもはがきの良さがあると考える。「そういう時間を持てるのは素晴らしいこと。スマホで時間を潰すより充実した時間でしょう」 とはいえ、はがきに近況をしたためるにしても、手書きとなれば、きれいに字を書かなければと気負いがちだ。書き損じたらやり直し。ましてや毛筆であれば、筆を選び、墨も用意しなければならない。スマホのように画面上で書いては消す、とはいかない。 それだけに、双雲さんは「もらった側は(相手の)エネルギーを感じます」。さらに「うまければいいというわけではない。丁寧に書くことが大事です」とも付け加えた。 不格好でもいい、書き手の真心が伝われば――ということか。早速、年賀はがきで挑戦する価値はありそうだ。非日常で思い伝える ネットを通じて瞬時に大量の情報が行き交う時代だが、コピーライターの佐々木圭一さん(54)は「はがきの『非日常度』が高まっています。1冊の本をもらったのと同じくらいの価値があります」と話す。 ファンが有名人に思いを伝える場合を例に、「SNSだと一瞬で読み飛ばされるが、はがきだと読んでもらえる可能性が高い」と考える。「人が書いたはがきって捨てないですよね」とも。確かに、その通りかもしれない。 著書「伝え方が9割」で知られる佐々木さんは、妻と中学生、小学生の娘2人との4人家族。この10年以上、誕生日にメッセージを書いて送り合っている。「子どもにとっては文章を書く、人に対して思いを伝えるという学びになる。親にとっては1年ごとに成長が見える良さもある」という。 一方、仕事や学校に日々忙しい中、はがきや手紙をプリンターで印字して済ませることも決して珍しくない。それで…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事