ハン・ガン(韓江)さんのノーベル文学賞受賞を記念した特設コーナー=ソウル市鍾路区の書店「教保文庫光化門店」で2024年10月13日、福岡静哉撮影 今年も読書週間(10月27日~11月9日)が始まった。多様性の時代、読書をめぐってもさまざまなアプローチが国内外で注目されている。韓国では「読書はかっこいい」と考えるブームが広がっているという。韓国専門出版社クオン広報の佐々木静代さんに聞きました。【聞き手・棚部秀行】ファッションに取り込み、SNSで発信 韓国では2年ほど前から「テキストヒップ」という言葉を聞くようになりました。起源ははっきりしませんが、テキスト(=文字)にヒップ(=流行やしゃれたの意味)を組み合わせ、いつしか定着した造語といわれています。本を読むこと、持つことがおしゃれでかっこいい、文字はスマホを通じてたくさん目にしているけど、紙の本をゆっくり読むのもいいよね、という態度です。若者を中心に、本や読書を自己表現、ファッションに取り込み、SNSで発信しています。 ソウルだけではなく、各地で開催されるブックフェアには多くの若い読者が詰めかけています。最近では、大手コンビニと出版社がコラボして、翻訳された世界文学全集の表紙をパンの包装にプリントし大人気になりました。なかには特製のしおりも入っていて、発売後2カ月で約160万個売れたといいます。ほかにも人気の詩人の詩の一節が印刷されたパッケージのグミなども売れています。 各出版社の編集者がユーチューブに出演して本を紹介するのも一般的で、大きな影響力があります。取り上げた本は、新刊ではなくても書店の売り上げランキングの上位に入っています。日本ではあまり見られない現象です。韓国の人は自己表現とか、エンタメ化が直接的でうまいですね。出版社や書店、業界の仕掛け方も良く、当たっているんでしょう。ハン・ガンさんのノーベル賞受賞が後押し このブームは、2024年に韓国の作家ハン・ガン(韓江)さんがノーベル文学賞を受賞したことが後押ししているといえると思います。自分たちが読んでいる文学は世界に通用するんだ、と胸を張れるようになった。特に出版社が自信を得たんじゃないかと感じます。韓国文化体育観光省発表の25年のデータで、20代の読書率が75・3%、成人全体の約2倍になっているという統計があります。「テキストヒップ」の盛り上がりを示す数字です。 ただ、だからといって、私は日本人が韓国の人より本を読まないとは思いません。… <関連記事> ・本好きの「活字マッチョ」が読書の多様性をむしばんでいる? ・まるで自分が耕されるよう 「読書会という幸福」著者が語る魅力=18時アップ予定Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事