私のライフシフト:「北の国から」に憧れ 57歳で早期退職、山梨へ 思わぬ出会いが

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実ったブドウの前に立つ小倉伸一郎さん(右)と妻祐美子さん=山梨県北杜市で2026年8月14日、福原英信撮影 国際宇宙ステーションなど、科学技術庁(現文部科学省)時代は、最先端の科学プロジェクトに携わっていた小倉伸一郎さん(76)。あの名作ドラマの世界に憧れ、定年を前に57歳で早期退職して山梨県へ移り住んだ。そして67歳の時、思わぬ出会いがあり、新たな挑戦が始まる。そのセカンドライフは、まるで“2段式ロケット”のようだが、いまの生き方は公務員時代とは正反対という。 <主な内容> ・在職中から着々と「第二の人生」の準備 ・自ら切り出した木でログハウスを建てる ・3人娘の山村留学で、女性が近くに移住 ・計画通りではなく、行動しながら考える入庁初日に「これは間違った!」 「育ってきたね」「虫にはやられていなさそうだな」 山梨県北杜市。南アルプスのふもと、山の斜面に広がるブドウ畑で、小倉さんと妻の祐美子さん(53)は、1房ずつ袋で覆ったブドウの出来具合を確かめていた。 小倉さんは兵庫県出身。六甲山麓(さんろく)で生まれ、子どもの頃から森が身近にある環境で育った。 大学では化学を学び、1974年、科学技術庁に入った。 「入庁初日に役所へ行って、『これは間違った!』と思いました」 小倉さんは苦笑いしながら振り返る。 省庁間の利害調整に腐心するなど“お役所仕事”が自分には向いていないと感じた。 それでも、国際宇宙ステーション計画に関して米航空宇宙局(NASA)との交渉に当たったり、深海探査を基にした研究を支える事務に携わったりした。95年に高速増殖原型炉「もんじゅ」であったナトリウム漏れ事故の際は、原子炉規制課長として対応に当たった。 そんな日々の中、週末には自然を求めて、山梨県や長野県などへ山登りに出かけた。 その頃から、テレビドラマ「北の国から」の主人公・黒板五郎に憧れ、「いつか自分の手で、森の中に家を建てて、自給自足の暮らしをしてみたい」と思い描くようになった。さらなる昇進を断り早期退職 50代に入り、さらなる昇進を打診されたが断った。海洋科学技術センター(現海洋研究開発機構)で勤務は続けたが、その間にも、樹木伐採の技術を学ぶなど「第二の人生」に向けての準備を進めた。 自然豊かな移住先を探している中で出合ったのが、山梨県の南西部にある早川町だった。森林面積が約95%を占め、人口は800人足らず、自ら「日本で最も人口の少ない町」とうたうほどの過疎地域だ。 57歳の時、早期退職を決意。横浜市から移り住んだ 茂り放題だった森を間伐して再生させるNPO法人を地元住民らと立ち上げ、自ら切り出した木でログハウスを建て、炭焼き窯を作るなど、憧れていた「北の国から」の世界に一歩一歩近づいていった。思いがけぬ出会い、そして… 山梨に移住して10年、67歳の時だった。 これまでずっと自分一人だけのことを考えていればよかったので、好きなことをやってきたが、「それも、やりきった」。 そんな満足感を覚えていた一方、山仕事をするには体力的に限界が近づいていると感じ始めていた。身辺を整理して、故郷の兵庫に帰ろうと考えていた。そんな矢先、思いがけない出会いがあった。 東京から祐美子さんが、保育園…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】小田急役員から「旅」の本屋に 退職後30年の生き方どう模索?関連記事