インタビューに答える歌手のクミコさん=東京都渋谷区で2026年10月21日、幾島健太郎撮影 人を愛し愛されること、生きることの喜びや悲しみを語りかけるように歌うのがシャンソンだ。フランス発祥、大人の歌である。 歌手のクミコさん(72)はシャンソン界の第一人者。穏やかな口調で小気味よくしゃべる、そのトークも魅力的だ。 「シャンソンはお好きなんですか。ご覧になってどうでしたか」 10月下旬、コンサートの谷間の日のインタビュー。初対面の記者に、いきなり「逆質問」から入ってきた。「すごく生意気だった」無名時代の思い出 インタビューは初めてだけど、実は、シャンソンを好きになるきっかけを私にくれたのはクミコさんだった。 初めてお目にかかったのは1980年代半ば、学生の頃。クミコさんは地下の小劇場、渋谷ジァン・ジァン(閉館)にて夜公演の後に1時間限定で催される「10時劇場」に、ゲストとして初出演した晩のことだ。 「あなたは歌が素晴らしいのに、しゃべりになるとそれが地に落ちる」。無名の30代歌手に向かって、ホストの永六輔が、ズバズバと言ってのける。 たとえ相手が有名でも無名でも、また年齢が離れていても、ズバズバと言いたいことを言うのが永だった。 永の直球のツッコミと、納得しかねたクミコさんの反論と。どっちにも驚いたのが懐かしい。 直後、スイッチが入ったかのように、観客を歌の世界に引き込むクミコさんに、さらに驚かされた。 そんな思い出話を披露すると、クミコさんは「あれ見てたんですか?」とビックリした様子。 「公開処刑みたいでひどかったですよね。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事