青年から届いた手紙を並べる新潟地検の水上嘉寛次席検事。えとを自筆した年賀状は携帯で撮影して大事に保管している=新潟市中央区で2026年9月9日午後5時26分、浜田奈美撮影 私は本当に更生できるのでしょうか――。今年の夏、国内のとある刑務所に服役中の青年から新潟地検の水上嘉寛次席検事宛てに1通の手紙が届いた。青年はかつて捜査を担当した元被告人。事件後から続く手紙には青年の希望や葛藤、そして「更生とは何か」を巡る問いがつづられている。 青年との出会いは2022年だった。ある事件で逮捕、送検された青年は、事件については口を閉ざしたが、自身の複雑な生い立ちや少年刑務所での経験など、雑談には気さくに応じる「素直さ」があった。自ら懲罰室で過ごした青年 印象的だったのは、少年刑務所で自ら刑務作業を拒否して懲罰室で過ごしたというエピソード。「なぜそんなことを」と問うと青年は照れ笑いし、意地になってしまったと打ち明けた。心を開いてくれている様子だった。 一方で、受刑者の更生と社会復帰を目指す改正刑法において、更生プログラムとしての刑務作業は重要性を増している。そのため起訴方針を青年に告げた際、こう付け加えた。 「裁判で有罪となり、また服役することになったら、二度と作業拒否なんてするな。今度こそ更生して、社会復帰して、そこから人生を再出発するんだ」 その言葉に対する答えが、23年1月に青年から届いた最初の手紙に記されていた。数カ月に一度の手紙、喜びや苦しみが どんな判決が出るかは分からないけれど、更生して、言われたような人生を歩みたい――そんな内容だった。 以来、数カ月に一度のペースで青年から手紙が届いた。 刑務所の生活には戻りたくないという思いや、刑務官に励まされた喜びなどポジティブな内容も多い一方で、…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事