演奏する川本嘉子さん(左)と阪田知樹さん ©脇屋伸光 川本嘉子さん(ビオラ)や阪田知樹さん(ピアノ)ら、日本を代表する音楽家が公演を重ねる150席の会場が、大分県別府市にある。アルゼンチン出身の世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチさんの名を冠した「しいきアルゲリッチハウス」(大分県立アルゲリッチ記念館)。アルゲリッチハウスでの公演「レジデント・アーティストシリーズ」は今季(2026年10月~27年10月)で10周年を迎え、5公演が企画されている。今季の初回公演(10日)で5回目の共演をした川本さん、阪田さんに、「特別な場所」というアルゲリッチハウスで、音楽を届ける思いを聞いた。聴衆の目の前で演奏 今季のテーマは「時代を紡ぎ未来へ」。初回の川本さん、阪田さんは「アメリカ~編曲から広がる世界」と題し、20世紀を代表する指揮者、レナード・バーンスタインの「クラリネット・ソナタ」(ビオラ&ピアノ版)や、映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズの「ビオラ協奏曲」(同)など、アンコールも含めて8曲を奏でた。聴衆の目の前での演奏に、全身が包み込まれるような感覚となり、心が震えた。 良質な芸術に触れ、室内楽の新しい魅力に出会えるアルゲリッチハウスでの公演は、16年に「室内楽シリーズ」として始まり、今季から「レジデント~」に名称を変更した。主催するアルゲリッチ芸術振興財団は、アルゲリッチさんが総裁を務め、1998年から開催している別府アルゲリッチ音楽祭の主催の中核を担う。 音楽祭の会場でもあるアルゲリッチハウスは、アルゲリッチさんを顕彰し、その精神を後世に引き継ぐ拠点として、2015年に実業家、故・椎木正和氏の寄付を受けて建設された。弦楽器やピアノの演奏が生きる音響を備え、椎木氏から寄贈されたアルゲリッチさん専用のピアノ「マルティータ」もある。ヨーロッパ在住のアルゲリッチさんが、音楽祭で来日した時にマルティータで練習するなど、活動の拠点でもある。ハウスは今年9月に財団から大分県に寄付され、新たなスタートを切った。音楽への愛が伝わる 川本さんは、シリーズが始まった16年から今季まで計8回の出演を数える。21年以降は毎回、阪田さんと共演してきた。 2人にとって、アルゲリッチさんはどのような存在なのか。…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事