20世紀以降最悪の火山災害 100年前の十勝岳大正泥流の教訓

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十勝岳の火山活動に伴い発生した泥流から避難する男性=1926年(上富良野町教育委員会提供) 山々は11月にかけて積雪期に入る。 北海道中央部に位置する活火山・十勝岳ではちょうど100年前の1926年、20世紀以降で国内最悪の被害を出した火山災害「大正泥流」が起きた。死者・行方不明者は計144人に上った。 十勝岳はマグマの活動度が低く、噴火も小規模だったが、雪と土砂が混じった泥流がふもとの町に流れたことが被害を大きくした。 同じタイプの火山は人気観光地の山形県・蔵王山など国内に多数ある。積雪期は被害拡大の恐れが高い。 なぜ小規模噴火が大きな被害をもたらすのか。次の噴火はいつか。近年の研究が明らかにした、そのメカニズムとは――。 <主な内容> ・「大正泥流」どんな被害を出した? ・小規模噴火でも被害拡大のワケ ・近年の研究で分かった泥流発生源 ・十勝岳でみられる噴火の前兆とは ・次の噴火は? 防災の注意点は?小規模噴火だったが 「丈余(3メートル超)の泥流が、釜の中の湯のように沸(たぎ)り、(中略)瞬時に泥流は二丈三丈とせり上がって山合を埋め尽くす。家が流れる。馬が流れる。鶏が流れる。人が浮き沈む」 作家、三浦綾子さんの小説「泥流地帯」は、北海道上富良野の町を襲った100年前の大正泥流の様子を生々しく描く。 気象庁によると、まだ雪が残る時期の26年5月24日夕、十勝岳が噴火し、山頂の西北西の小さな火山体「中央火口丘」が崩壊したことで、高速で流れ下る「岩屑(がんせつ)雪崩」が発生した。 高温の岩屑雪崩が残雪や大量の水と合わさって、大規模な融雪型泥流に。またたく間に30キロメートル先のふもとの上富良野町や美瑛町に到達し、集落や鉄道などを押し流した。 ただ、噴火自体は小規模だった。噴出物の量に応じて0~8の9段階で示す「火山爆発指数(VEI)」で、わずか1クラス。国内で数年に1度はどこかで起きるレベルだという。 十勝岳はマグマ活動度も低い山だ。鹿児島県の桜島や熊本県の阿蘇山のような大規模な活動はない。 北海道内の類似の火山である樽前山と比較しても、1000年あたりの噴出量は、樽前山が1・2立方キロメートルに対し、十勝岳は0・03立方キロメートルで桁違いに少ない。 それでも、大正泥流の死者・行方不明者数は20世紀以降の火山災害で最多の144人に上った。 91年の長崎県・雲仙普賢岳の噴火による犠牲者数は43人、2014年の長野・岐阜県境にある御嶽山の噴火は63人で、これらを大きく上回る。 「マグマ噴出量が非常に少ない火山で…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事