患者らの血液などの試料が保存されている国立長寿医療研究センターのバイオバンク=愛知県大府市の同センターで2025年8月19日午後2時53分、田中泰義撮影 アルツハイマー病に関連する遺伝子領域127カ所が確認されたと、日米欧の国際チームが28日付の英科学誌ネイチャーに発表した。患者と未発症者の計300万人近いデータを比較した。脳内の神経細胞に蓄積する異常たんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が発症原因の一つと考えられているが、今回の領域に含まれる遺伝子群は、脳内の免疫細胞「ミクログリア」で顕著にみられた。新たな治療戦略の構築につながる可能性がある。 アルツハイマー病の患者数は、世界で2050年までに現在の2倍以上となる1億人超に達すると予測されている。発症に関わる遺伝的特徴は人によって異なるため、その遺伝子領域を特定できれば早期発見・治療につながると期待されている。しかし、個人差が大きく、病気との関連を調べるには大規模な解析が必要だった。Advertisement十数カ国の機関と協力 オランダ・アムステルダム自由大を中心とする国際チームは、DNAなどの試料を保管する「バイオバンク」を運営する国立長寿医療研究センターや東北大など、十数カ国の100を超える機関と協力。東アジアなど各国の患者約18万人と未発症者約263万人の遺伝子領域を比較した。アルツハイマー病などの遺伝子解析に使用される国立長寿医療研究センターのスーパーコンピューターについて説明する尾崎浩一・メディカルゲノムセンター長(左)と重水大智・バイオインフォマティクス研究部長=愛知県大府市の同センターで2025年8月19日午後2時35分、田中泰義撮影 その結果、アルツハイマー病の発症との関連が知られる遺伝子「APOE」など127の遺伝子領域で、患者と未発症者の間に違いがあることが分かった。確認された遺伝子の働きは神経細胞よりミクログリアで活発だった。また、このうち17個の遺伝子が作る物質は、すでに別の疾患の治療薬に活用されており、アルツハイマー病治療にも有効になる可能性をうかがわせた。 さらに、遺伝的にアルツハイマー病になるリスクが、従来より3倍高い16%になるとの推計を明らかにした。 新飯田俊平・国立長寿医療研究センター研究所長特任補佐は「各国で保管されてきたヒトの試料を活用した大規模解析で得られた成果だ。アルツハイマー病は今なお抜本的な治療に至っていない。今回の知見は新たな治療戦略に役立つのではないか」と話している。【田中泰義】Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。関連記事