激動期の安保:米軍が実戦投入 AI「メーブン」有効性と「間違えた時」の懸念

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米軍のAI戦略を統括する国防総省チーフデジタルAI室(CDAO)のキャメロン・スタンレー室長=米首都ワシントンで2026年9月9日午前10時34分、平野光芳撮影 米首都ワシントンで9月に開かれた防衛産業関連のイベント会場に、米軍の人工知能(AI)戦略を統括する国防総省チーフデジタルAI室(CDAO)のキャメロン・スタンレー室長の姿があった。壇上で強調したのは「米軍は人工知能ファーストの軍隊になる」ということだった。防衛省・自衛隊が指揮統制システムに人工知能(AI)を導入する検討に入りました。導入すれば何が変わるのでしょうか。米軍が既に実戦に投入している「メイブン・スマート・システム(MSS)」やシステムを提供する米データ解析大手「パランティア・テクノロジーズ」とは。シリーズ「激動期の安保」の「AI編」は、AIと安全保障の現状を追います。 米軍の作戦で存在感を高めているのが、米データ解析大手「パランティア・テクノロジーズ」のAI指揮統制プラットフォーム「メイブン・スマート・システム(MSS)」だ。 米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」によると、MSSはドローン映像、レーダー、信号情報、文書などさまざまな形式の膨大なデータを統合し、一つの画面に表示する。攻撃対象の候補を見つけると画像を黄色い枠で囲って担当官に通知し、利用可能な攻撃手段の中からどれが良いかランク付けして提案するという。出発点は「自動車爆弾」の抑止 米国防総省がMSSにつながるプロジェクトを始めたのは2017年。開発の動機は、「米兵の命を守るためだった」(防衛研究所の高橋杉雄上席研究官)。 米軍事アナリスト、ポール・シャーレ氏の著書によると、米軍は当時アフガニスタンで乗用車などに大量の爆発物を詰め込んだ「自動車爆弾」の脅威にさらされていた。偵察用無人機が上空から撮影した膨大な動画を、多くの情報アナリストが時間をかけて分析するのではなく、AIを使って効率的に自動車爆弾を仕掛ける側の動向を探り、抑止する目的だったという。 改良を重ねたメイブンは、21年夏のアフガンからの撤退作戦で米兵たちの信用を得た。一つの画面上に航空機の動向や兵たん(ロジスティクス)、脅威の監視などさまざまなデータが統合されて表示されるため、非常に有効だったからだ。 ロシアが22年にウクライナに本格侵攻すると、米政府はパランティアと共に支援に動いた。その狙いについて、英王立防…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【次の記事】国産か米国製か 自衛隊のAI導入議論で浮上する海外依存リスク【前の記事】安保へのAI導入、小泉防衛相が本腰 思わず賞賛した米人工知能関連記事