#ビジュ:給食減らし、弁当食べず… 低年齢化するやせ願望 摂食障害にも

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「細い=かわいい」との価値観に縛られる人は多い(写真はイメージ)=ゲッティ やせていることを理想とする価値観が低年齢層にも広がっている。過度なやせ願望によって、摂食障害を発症する人もいる。 「きっかけは組み体操でした」。大阪府の会社員、浦部愛菜(まな)さん(25)は自らの経験をこう明かす。Advertisement 幼い頃から「体重は軽い方」との自負があった。しかし、小学6年の時、組み体操のピラミッドで上から2段目となった。自分より軽い人が一番上に配置された。「一番じゃなかった」。負けず嫌いな性格のため、心底悔しかった。 学校では体重の重い人が「いじられる」ことが多く、「やせている方がいいものだ」との意識があった。 その頃読んでいた小学生向けの雑誌には、モデルの二の腕やウエストのサイズまで事細かに数字が紹介されていた。「この人はこんなに細いんだ」と驚き、自分と比べた。 目標体重を決めて、その基準を超えないよう努力し続けた。 小学校では給食の白米を抜き、中学校では家から持ってきた弁当を食べずに持ち帰った。家族には「食べる時間がなかった」とごまかした。外れた食欲のふたケーキ(写真はイメージ)=ゲッティ だが、本当は食べることが好きだった。 高校卒業後は製菓を学ぶため、専門学校へ進んだ。実習で作ったホールケーキなどを食べた後に、調理師や製パンのコースの生徒が作った料理も試食する。 それまでは決めたものだけを食べていたが、みるみる自分の食べるペースが崩れていった。「だんだんと『今日はこれだけ食べてしまったし、もういいや』という気持ちになってしまった」 アルバイト先の居酒屋やすし店で出たまかないの料理まで食べるようになった。押さえ込んでいた食欲の蓋(ふた)が外れたように、過食が始まった。どんどん体重は増え、いつしか超えたくないラインも超えてしまった。 「食べたくない自分と食べてしまう自分。自分の中に2人いて、意思とは関係なく、食べることが止められないという状況だった」少しずつ薄れたこだわり「細い=かわいい」との価値観に縛られる人は多い=ゲッティ 約2年半前から摂食障害の当事者団体「igokochi」に関わる。症状が完全に消えたわけではないが、悩みを聞いてもらううちに、少しずつ体重や体形へのこだわりが薄れてきた。 就職し、仕事が本格化したことも大きい。「仕事は体力勝負。やせていれば全ていいというわけでもなかった。体重や体形には一定の諦めがついた」と話す。 体重という数字にこだわり、自分をストイックに追い込んだ末に過食が止まらなかった頃をこう振り返る。 「結果が出る楽しさもあるのは事実。でも、それが『苦しくても』になるのはよくない。そうならないためには、人と自分を比べすぎないことが重要なのかな」国内23万8000人の患者 国立精神・神経医療研究センターの「精神保健福祉資料」によると、摂食障害の国内患者数は約23万8000人(2023年度)いる。 食事制限のため著しい低体重となる「神経性やせ症」と、体重は正常範囲で頻繁に過食をする「神経性過食症」に分けられる。体重の増加を怖がる点は共通している。「なんば・ながたメンタルクリニック」の永田利彦院長=大阪市で2026年9月12日午後2時53分、塩路佳子撮影 年代や性別に関係なく発症し得るが、思春期から青年期に発症することが多く、性別では女性の方が多い傾向がある。 精神科医で摂食障害に詳しい「なんば・ながたメンタルクリニック」(大阪市)院長の永田利彦さん(66)は「ダイエットをきっかけに発症することが多く、慢性化すると、低栄養で死に至るだけでなく、孤立し、自死につながることもある」と警鐘を鳴らす。 発症の背景には、自己肯定感の低さなどの生きづらさがあり、「体重が減ることで達成感を得たり、周囲から『やせたね』と認められたりすることで、ダイエットが生きがいになってやめられなくなる」と指摘。「負けず嫌い」の気質を持つ人も多いという。 SNSが日常に浸透し、動画や画像で「細い=かわいい」という価値観にさらされ続けることも多い。永田さんは「ダイエットを始めたらやめられず、のめり込んでいないか。体重が減ったら本当に幸せなのか。立ち止まって考えてほしい」と訴える。【塩路佳子、露木陽介】