網走市内の観光施設「オホーツク流氷館」から撮影した網走湖。右奥は能取湖=北海道網走市で2026年9月12日午後4時35分、小林大輝撮影 北海道で最もワカサギの水揚げ量が多い網走湖(網走市、大空町)で異変が起きている。 1984年の最盛期の年間漁獲量は522トン。全国で取れるワカサギの約1割を占めたが、2025年には15分の1の35トンまで激減した。 ワカサギに何が起こっているのだろうか。品切れ続く加工品 「うちはワカサギがなくては困る。今年こそ復活してほしい」 網走市内の水産加工業者の担当者はこう語る。 会社ではシジミや小エビなど、地元で水揚げされた魚介類を加工・販売している。 看板商品は、網走湖のワカサギを甘辛く煮込んだつくだ煮。 土産物や贈答品として人気が高く、全国発送にも対応している。 だが、つくだ煮は25年12月に品切れになった。 25年の秋季漁は資源保護を目的にわずか1週間で打ち切られた。 26年は1月に始まるはずだった冬季漁も中止となった。 会社は材料のワカサギを十分に調達できず、製造したわずかなつくだ煮は1カ月ほどで完売した。 通常は年間を通じて販売できるようにワカサギを大量に仕入れ、製造したつくだ煮は在庫に回している。 主力商品が早々に底を突いたことで会社の売り上げも下がった。 「ここまで早く品切れになるのは初めてのこと」 担当者の落胆は大きい。激減するワカサギ 網走市によると、網走湖の年間漁獲量はおおむね200トン以上で推移してきたが、13年以降は200トンに届かない状態が続いている。 25年9月下旬には、湖水中の酸素濃度が極端に低下する「青潮」が発生し、魚類の大量死が確認された。 これを受け、網走湖でワカサギを漁獲する西網走漁協は、11月の秋季漁を通常の1カ月間から1週間に短縮した。 その結果、25年の漁獲量は35トンで過去最低となった。 例年1~3月の冬季漁は、26年に初めて完全休漁した。 並行して取り組んでいるワカサギの人工授精事業も苦境にある。 漁協は4~5月、網走湖で産卵を控えた親魚を捕まえて採卵。受精卵をふ化させて網走湖に放したり、販売したりしている。 しかし近年、親魚の水揚げ量が減少したことで採卵量が減り、顧客に受精卵を引き渡せない例が出てきた。 北海道三笠市の桂沢湖では25年、西網走漁協から受精卵を買えず、26年の氷上ワカサギ釣りが中止となった。 市は毎年4~5月、西網走漁協から受精卵1000万粒を購入してきた。 ワカサギ釣りは湖面が凍結した1~3月の約2カ月間営業する。 多い年には3000人近くが訪れるなど、市の重要な観光資源となっている。 市は新たな受精卵の調達先を探したものの、急な購入依頼に対応できる生産者は見つからなかった。 市によると、魚卵を調達できなかったことでワカサギ釣りの営業を取りやめるのは初めてのことだという。 事業を所管している市商工観光課の担当者は「自然相手の難しい事業ではあるが、非常に残念」と話す。 西網走漁協の川尻敏文専務は「網走湖の環境保全と不漁の原因究明を進めてほしい」と求めている。 <記事後半の内容> ・ワカサギが減った要因は ・網走湖の青潮は防げるのか ・対策の現状は 川尻専務によると、26年は春に取り組んだ人工授精用の漁獲が好調で、産卵のため網走湖から川に遡上(そじょう)した親魚も25年より多かった。 ただ、25年のように…Google検索で「毎日新聞」の記事を優先的に表示できます。【前の記事】「御神渡り」が消え去る? 研究家40年の記録と屈斜路湖の異変関連記事