市街地にヒグマが同時多発的出没「危機的だ」背景に多産や不作 札幌

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朝日新聞記事原知恵子2025年10月3日 12時00分札幌市南区藤野2条1丁目9番付近に設置された自動撮影カメラが捉えたヒグマの親子=2025年10月1日午後9時前、札幌市環境局提供 「災害のような状態」「一段階上がった危機感が必要」――。 札幌市でヒグマ出没が相次いでいることを受け、市役所や警察、猟友会ら関係機関が2日夜、緊急の会合を開いた。 市によると、9月の出没情報件数は71件で、過去10年間で最多。シーズン全体で最も出没情報が多かった2023年の9月でも、24件だった。内訳も、登山道などはわずかで、市街地やその周辺が「かなり多い」状況という。 直近1週間では、西区平和の公園を夜に散歩していた男性が親子とみられるクマに遭遇し、襲われて負傷した。手稲区や南区などでも住宅地付近での出没が続き、休校する学校も出た。日中の目撃もある。 会合では、市街地で同時多発的に出没が続く背景には、食べ物をめぐる複合的な要因があるとの見方が示された。 昨秋は山の実なりが豊作で、栄養状態の良好なメスが多産傾向にあったとみられる。 ただ、今秋は一転して不作。「特にドングリは壊滅的」との声も出た。西区で男性を襲ったクマのフンの内容物の分析でも、8~9割が草で、「本来この時期にクマが食べる物とはかけ離れた印象」という。 それぞれのクマは、食べ物を求めて行動範囲を広げている可能性がある。 また、ドングリに比べ、オニグルミは今年も「そこそこある」が、木は山裾や河川沿いに多い。クルミを探すなかで、結果的に市街地に近づいてしまう。そんな状況もうかがえるという。市長「生命と安全を第一に」 10月は例年、9月よりも出没件数がやや増える傾向にある。 関係機関は「しばらくは危機的ともいえる異常事態が続く」とみて、警戒や連携を高めることを確認した。 出没が懸念されるエリアには自動撮影カメラを増設して行動を把握。出没が続く地点では誘因物の有無を調べ、木の実や果樹などがあれば除去する方針だ。 札幌市の秋元克広市長は「市民の生命と安全を第一に、危険性が高いと判断される個体については速やかに駆除を最優先とした対策を実施すること」などの緊急指示を出した。 市の担当者は、山の近くに住む市民に対し、ゴミの管理の徹底、家庭菜園の早めの収穫や電気柵の設置といった対策を呼びかけている。相次ぐクマ被害クマが人の生活圏に出没するケースが増え、人身被害も相次いでいます。被害現場の取材を通して見えたものや対策、専門家の知見をまとめます。[もっと見る]関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月3日 (金)「反軍演説」議事録 復活案浮上国勢調査 同性カップル数えず外来タヌキ ウミガメを襲う10月2日 (木)NHKのネット利用が「有料化」米政府機関が一部閉鎖に東京都、無痛分娩の助成開始10月1日 (水)米とイスラエル 和平案で合意新浪氏が代表幹事を辞任彬子さま、三笠宮家の当主に9月30日 (火)金1グラム 史上初の2万円突破チェック体制に「規定なし」日産 マリノスの株売却検討トップニューストップページへ「通訳が間に合わず不起訴」 高市氏の発言、捜査の現場はどうみたか11:00国道で軽乗用車が横転、男女6人が救急搬送され5人死亡 三重・名張7:48トランプ氏、麻薬組織と「武力紛争に入った」 一方的に攻撃を正当化9:25「おとなしい性格」の息子が殺人事件容疑者に 仕事の愚痴も口に11:30山の遭難なぜ増えた? 救助隊長の危機感「登山はマラソンではない」9:00「無限競争」強いられる韓国の若者 社会問題に日韓で対応、処方箋は7:30