ドングリ不作・分布拡大…ヒグマ被害「誰もが当事者に」専門家の警鐘

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朝日新聞記事有料記事原知恵子2025年10月3日 12時00分 北海道で今秋、人の生活圏でのヒグマの目撃情報が相次いでいる。 原因の一つとして、山の実なりが不作で、食べ物を求めるヒグマの行動範囲の広がりが指摘されている。 そもそも、ヒグマの食性は?気をつけるべきことは? 北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所(札幌市)のシニアアドバイザー・釣賀一二三さんに「ヒグマと食べ物」について聞いた。北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所(札幌市)のシニアアドバイザー・釣賀一二三さん=2025年10月2日、札幌市中央区、原知恵子撮影     □ ――ヒグマの食性は。 雑食性。植物性から動物性まで幅広い。春から秋にかけて、その時に、その地域で最も手に入りやすい食べ物を大量に食べる。 冬眠から目覚めた春は、芽吹いた植物がメインで、代表格はセリ科(エゾニュウ、アマニュウなど)やフキなど。 越冬できずに死んだエゾシカを食べる場合もあるが、「積極的に襲う」ことは一般的ではない。小動物も、捕食するのは主に死骸だ。 夏になると、植物が硬くなって食べにくくなる。ヒグマにとっては、食べ物が少ない厳しい季節だ。そのため、人里の農作物の被害が起こりやすい。ヒグマの食害にあったトウモロコシ=2025年9月16日、札幌市清田区、原知恵子撮影 この時期は、セリ科植物に加え、アリやハチ、セミの幼虫などを地中から掘り出して食べる。道路脇にはアリの巣が密集していることもあるので、要注意だ。沢でザリガニを捕ることもある。 晩夏になるとオニグルミ、秋にはミズナラやブナなどのドングリ類、ヤマブドウといった木の実や果実を食べて、エサの少ない冬に向けて脂肪を蓄える。知床半島では、遡上(そじょう)するサケやマスを食べることが有名だ。 冬眠は一般的に12月中旬ごろ以降だが、年によって状況は異なる。 冬眠は、エサが少ない時期を乗り越えるための生態。エサが豊富にあれば、ずっと活動していることもある。「動物園のクマは冬眠しない」とイメージすれば、わかりやすいかもしれない。 ――今秋はヒグマの目撃が多い状況だ。 ミズナラなどの結実状況が非常に悪い地域が多い。山の実なりが悪いと、食べ物を求めてヒグマの行動範囲が広がるため、人里で相次ぐ目撃の要因の一つになっているのではないか。札幌市南区藤野2条1丁目9番付近に設置された自動撮影カメラが捉えたヒグマの親子=2025年10月1日午後9時前、札幌市環境局提供 ただ、食べ物がないからといって「凶暴化して積極的に人を襲う」ことはない。 近年の人身被害は、「これまでヒグマが活動しない」とされていた場所で予期せずヒグマと遭遇してしまい、あつれきに発展してしまった事例が目立つ。 ――今年の春~夏の食べ物の…相次ぐクマ被害クマが人の生活圏に出没するケースが増え、人身被害も相次いでいます。被害現場の取材を通して見えたものや対策、専門家の知見をまとめます。[もっと見る]関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月3日 (金)「反軍演説」議事録 復活案浮上国勢調査 同性カップル数えず外来タヌキ ウミガメを襲う10月2日 (木)NHKのネット利用が「有料化」米政府機関が一部閉鎖に東京都、無痛分娩の助成開始10月1日 (水)米とイスラエル 和平案で合意新浪氏が代表幹事を辞任彬子さま、三笠宮家の当主に9月30日 (火)金1グラム 史上初の2万円突破チェック体制に「規定なし」日産 マリノスの株売却検討トップニューストップページへ「通訳が間に合わず不起訴」 高市氏の発言、捜査の現場はどうみたか11:00国道で軽乗用車が横転、男女6人が救急搬送され5人死亡 三重・名張7:48トランプ氏、麻薬組織と「武力紛争に入った」 一方的に攻撃を正当化9:25「おとなしい性格」の息子が殺人事件容疑者に 仕事の愚痴も口に11:30山の遭難なぜ増えた? 救助隊長の危機感「登山はマラソンではない」9:00「無限競争」強いられる韓国の若者 社会問題に日韓で対応、処方箋は7:30