「空き家問題」は「放置財問題」 法社会学者が現場で考える解消策

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有料記事聞き手・山田史比古2025年10月3日 11時30分明治大の片野洋平・准教授=2025年3月、東京都中央区、山田史比古撮影 全国で約900万戸にのぼるとされる空き家。人の手が入らなくなった山林や、放棄された農耕地。明治大の片野洋平准教授(法社会学)は、これらを「空き家問題」や林業、農業など個別の問題としてみるのではなく、「放置資産」問題と捉え、研究しています。町を離れた人から山林の寄付を受け付ける鳥取県日南町の取り組みにも協力してきた片野さんに、特に地方で目に付く放置資産の問題をどう解消するべきなのか聞きました。 ――自分や親が地方から都市に出てきた人には、実家の管理は悩ましい問題です。 鳥取大学に勤務していたころ、「とにかく空き家が困っている」とよく聞きました。空き家は目立つし、寂しく感じるし、ぼろぼろになれば危険もあります。私の場合、中国山地にある日南町と特に関わらせてもらったのですが、町から鳥取県米子市に移り住んだ人や、東京や大阪に移った人に話を聞くと、「家だけじゃないんだよ」という話になり、耕作放棄地や山林の話も出てくるわけです。 ――地方の暮らしでは、家のほかに農地や山林も所有することが一般的でした。そこで、もう地元に住んでいない人が所有する放置資産の問題に取り組み始めたのですか。 こうした問題は、空き家であれば国土交通省の管轄で、農地なら農林水産省で研究としては農業経済学、森林だと林野庁で森林学などと、個別に議論されてきた面があります。でも、これらは同じ問題としてまとめて考えないと意味がないのでは、と思いました。 ――放置資産の条件、定義は。 私の整理では、放置資産とは一般的に、放置されている資産です。そのなかで、特に過疎地に固有のものとして「放置財」があります。これは所有者が離れて住んでいて、資産は複数あることが多く、管理意欲が弱くて管理に負担を感じており、故郷に戻ることを望んでいない。そして、今後の管理や利用をどうしていいかわからず困っている、などの特徴があります。さらに、所有者みずからは売却する意思も弱い。代々のものだから売ってもいいのか悩んでいたり、息子に維持してもらいたいけれど迷惑かと思って言い出せなかったり、親族の関係性のなかで悩んでいることも多い。 ――日南町では、片野さんの提言も受け、町を離れた人から山林の寄付を受ける事業を始め、これまで118筆を受け取りました。 地方だと、もちろん所有権は…この記事を書いた人山田史比古名古屋報道センター|社会保障・福祉など専門・関心分野社会保障・福祉、住まい、身寄り問題、相続こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ10月3日 (金)「反軍演説」議事録 復活案浮上国勢調査 同性カップル数えず外来タヌキ ウミガメを襲う10月2日 (木)NHKのネット利用が「有料化」米政府機関が一部閉鎖に東京都、無痛分娩の助成開始10月1日 (水)米とイスラエル 和平案で合意新浪氏が代表幹事を辞任彬子さま、三笠宮家の当主に9月30日 (火)金1グラム 史上初の2万円突破チェック体制に「規定なし」日産 マリノスの株売却検討トップニューストップページへ国道で軽乗用車が横転、男女6人が救急搬送され5人死亡 三重・名張7:48トランプ氏、麻薬組織と「武力紛争に入った」 一方的に攻撃を正当化9:25「通訳が間に合わず不起訴」 高市氏の発言、捜査の現場はどうみたか11:00山の遭難なぜ増えた? 救助隊長の危機感「登山はマラソンではない」9:00SNSの「不自然な拡散」、総裁選でも? セキュリティー会社が発見6:00「債務免除」の後にM&A 倒産秒読みの会社、信金がしかけた再生10:00