恋するラグビー:見えない敵対策は限界? ラグビー日本&ウェールズ代表が再戦へ

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ウオーターブレーク中、冷やした帽子をかぶるなどしてクールダウンするウェールズの選手たち=ミクニワールドスタジアム北九州で2025年7月5日、玉城達郎撮影 もう一つの見えない敵と戦っているようだった。ラグビーの「リポビタンDチャレンジカップ」で日本代表とウェールズ代表のテストマッチは5、12日の2試合とも、暑さが厳しい午後2時台のキックオフ。選手は試合中、あの手この手で体を冷まそうと必死だ。早々に日陰に「避難」 日本が12年ぶりに勝利した5日のミクニワールドスタジアム北九州(北九州市小倉北区)での一戦。気象庁によると会場近隣の最高気温はこの時点で今年最高の33・6度まで上昇した。Advertisement 国際統括団体「ワールドラグビー」のガイドラインに従い、前後半とも20分前後にウオーターブレークを設けたり、ハーフタイムを5分延ばして20分としたりする、特別な対応が取られた。酷暑の中、氷袋を頭に乗せるレフェリー=ミクニワールドスタジアム北九州で2025年7月5日、玉城達郎撮影 それでも暑さは厳しい。開始直後に負傷者の治療時間が発生すると、選手はすぐに日陰に「避難」した。休憩中にウェールズの選手は冷やした帽子をかぶり、レフェリーは氷の入った袋を頭に乗せて涼むなど、ピッチの全員が真夏の暑さに参っているのは明らかだった。 この時期、ウェールズの中心都市カーディフの最高気温は20度あまり。終盤に足が止まり逆転負けしたウェールズのシャーラット・ヘッドコーチ(HC)は「暑さを理由にすると言い訳になる」としつつ、延長されたハーフタイムの過ごし方は「まずはリカバリーに集中した。水分を取り、氷で体を冷やした。とにかく選手の体温を下げることが大事だった」と語り、厳しい状況だったことをうかがわせた。屋根閉めて開催へ 炎天下にさらされたのは、選手だけではない。試合に訪れた観客への影響は、どうだったか。晴天の下で行われたラグビー日本代表とウェールズ代表の第1戦=ミクニワールドスタジアム北九州で2025年7月5日、玉城達郎撮影 日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事は9日、1万3487人を集めた北九州の試合での観客の救護対応について問われ、具体的な数字は控えたが「(救護件数が新型コロナウイルス禍後の2022年以降で)最大ではなかったが、多かったのは事実」と語った。 12日に再び行われるウェールズ戦は舞台を神戸に移すが、やはり厳しい暑さが予想される午後2時50分キックオフの予定だ。 会場のノエビアスタジアム神戸は開閉式の屋根がある。当日は直射日光を避けるため、屋根を閉めて開催する方向で調整している。 岩渕氏は試合時間について「会場の都合、放送のタイミングや、当然気候も考慮している。対戦相手のウェールズ協会や医師とも十二分に協議した」と強調する一方で、「さまざまな観点から選手、観客への対応を考える必要がある」と課題も口にした。 日本代表のエディー・ジョーンズHCは12日の試合を前にこう話した。 「(冬場に)北半球でプレーする時に暖房をつけてくれるわけでもない。両チームとも同じ環境下で適応しなければならず、ラグビーの醍醐味(だいごみ)」 選手も運営側も、気候という「難敵」への対応が求められている。【川村咲平、角田直哉】【前の記事】難敵撃破の裏にリーチのリーダーシップ 審判との会話内容は?関連記事