有料記事編集委員・吉田伸八2025年7月17日 12時00分 殺人事件などの公訴時効が2010年に廃止されてから15年が経った。廃止が決まった当時、警察庁刑事局長だった金高雅仁・元警察庁長官(71)に当時の経緯やその後の思い、捜査の課題などを聞いた。 時効廃止は、殺人事件の被害者の遺族らによる強い訴えをきっかけに議論が始まった。05年には、殺人などの時効が15年から25年に延長されていた。 金高さんは、時効廃止に向けた法改正の議論をする法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会の委員として議論に加わった。警察は当初、廃止に積極的でなかったという。多くの事件が発生から長くても3年以内に容疑者が検挙されており、時効を廃止しても効果は限定的という意見のほか、捜査資料の保管などで現場への負担増が懸念されたためだ。公訴時効廃止の経緯などについて語る金高雅仁・元警察庁長官=2025年7月11日午後2時5分、東京都渋谷区、板倉大地撮影 ただ、警察を代表して議論に参加していた金高さんの考えは違った。 警察は何よりも被害者とともに歩むべきだと考え、「その路線を変えないといけない」と思った。 きっかけは、法制審の部会で隣の席になった弁護士の岡村勲さん(今年2月に死去)の訴えだった。時効制度がある理由の一つに、時間が経過することによる被害者や社会の処罰感情の希薄化が挙げられていたことに対し、岡村さんは「被害者感情が緩和されるとはなんたる言い草か。被害者は一生苦しまなければならないのに犯人は15年、25年で放免されるとは」と憤った。【地図で見る】全国の未解決殺人事件殺人事件の時効が廃止されてから今年で15年。未解決の殺人事件の真相解明の一助になることを目指し、事件を一覧できるページを作成しました。各事件のリストでは、情報提供ができる電話番号も掲載しています。 殺人で妻を失い、被害者のための活動に取り組む岡村さんの言葉は重かった。 金高さんは廃止への賛成を決…【はじめるなら今】記事読み放題のスタンダードコース1カ月間無料+さらに5カ月間月額200円!詳しくはこちらこの記事を書いた人吉田伸八編集委員|警察庁担当専門・関心分野警察行政、事件、犯罪こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月17日 (木)アステラス社員に実刑判決ローマ字のつづり方変更へ芥川賞と直木賞、該当作なし7月16日 (水)銀行情報を不正持ち出し日産 追浜工場で車両生産終了3歳女児の放置死から5年7月15日 (火)自公、過半数は困難かインスタアカウント削除命令東海道新幹線が豪雨対策7月14日 (月)胎児減らす手術 進む臨床研究夏の国内宿泊旅費 過去最高比例 主戦場はショート動画トップニューストップページへ国立公園内に違法な昆虫採集わな、警告も無視 環境省が奄美署に通報10:18神奈川県警巡査長と住吉会系組員ら逮捕 社長への面会を強要疑い10:00ストリートビューに残る両親の愛 2人がくれたスター俳優との縁10:00受験で有利?100万円の講座も 「体験」ブームに考えた格差と競争10:00京都・清凉寺の重文絵巻、全8巻の予定だった? 160年ぶりに修理11:00佐世保にそびえる3本の塔 真珠湾攻撃命令の発信地は観光名所に9:00