世界遺産・知床でポイ捨て?「クマ活」始めたホテリエの危機感と願い

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朝日新聞記事有料記事原知恵子2025年7月17日 12時00分北こぶしリゾートのホテルスタッフとして働きながら「クマ活」を担当し、プライベートでは「知床ゴミ拾いプロジェクト」を展開する村上晴花さん=2025年6月、北海道斜里町、原知恵子撮影 ホテルの目の前の垣根に、バナナの皮が落ちている。 「北こぶしリゾート」で働く村上晴花さん(30)は、それを拾いあげながら、やるせなさと憤りを感じていた。 ここは、世界自然遺産「知床」の玄関口・斜里町のウトロ地区。あたり一帯は世界有数のヒグマ高密度生息地域として知られ、近年は「ヒグマの市街地への出没」が問題になっている。 人間にとっては「生ゴミ」でも、クマにとっては魅力的な「食べ物」だ。味を覚えてしまったクマはおいしいエサ(=生ゴミ)を求めて人里に出没を繰り返したり、人間に近づくようになったりする恐れがある。 安易な「ポイ捨て」は、人身被害はもちろん、「問題個体」とみなされ駆除の対象になるクマをも危険にさらすことにつながる。これは、地元では常識だ。 斜里町には、年間約100万人の観光客が訪れる。誰かが、軽い気持ちで捨てたのだろうか。 プライベートで、仲間と定期的に「知床ゴミ拾いプロジェクト」を続けている村上さんは、いつも思う。 「なぜ、こんな無責任なことができるんだろう?」 空き缶、ペットボトル、プラスチックの袋、弁当ガラ、残飯……。 ごみ拾いを5年間続けても、毎回、何袋もいっぱいになるという。「自然バカ求む」→移住を決断 村上さんが初めて知床を訪れたのは、酪農学園大学4年の夏休みだ。 ヒグマを研究対象とするゼミに所属していた縁で、先輩からヒグマの骨格標本を作るアルバイトに誘われた。 軽い気持ちで参加したら、圧倒的な大自然と絶景、そしてヒグマが身近にいる環境に魅了された。 幼い頃から生き物や自然に関心があり、「環境共生学を学びたい」と大阪から北海道に進学。札幌市や浦幌町でもフィールドワークでヒグマの痕跡を追ってきたが、知床のインパクトはすさまじかった。 初めて見た、駆除個体の解体現場。最前線で野生動物と向き合う地元の人たち。 1週間の滞在期間で、今までの学びが、目の前でつながっていく感覚を覚えた。 「ここに住んでみたら、面白いかも……?」 直感からほどなくして、ユニークなキャッチコピーが目に入った。 「自然バカ求む」 それは、知床・ウトロ地区でホテルを運営している会社の求人だった。 ホテル業界のことは正直、よく知らなかったが、「知床志望」で勢いのまま応募。最終的に1社で就活を終えた。 「ホテルという業態は、知床に良い影響を与えているのだろうか」――。働き始めて、そんな葛藤を抱き始めたという村上さん。どんな出来事があったのでしょうか。充実の日々も…芽生えた違和感 入社後はレストランに配属さ…【はじめるなら今】記事読み放題のスタンダードコース1カ月間無料+さらに5カ月間月額200円!詳しくはこちら関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ7月17日 (木)アステラス社員に実刑判決ローマ字のつづり方変更へ芥川賞と直木賞、該当作なし7月16日 (水)銀行情報を不正持ち出し日産 追浜工場で車両生産終了3歳女児の放置死から5年7月15日 (火)自公、過半数は困難かインスタアカウント削除命令東海道新幹線が豪雨対策7月14日 (月)胎児減らす手術 進む臨床研究夏の国内宿泊旅費 過去最高比例 主戦場はショート動画トップニューストップページへ国立公園内に違法な昆虫採集わな、警告も無視 環境省が奄美署に通報10:18神奈川県警巡査長と住吉会系組員ら逮捕 社長への面会を強要疑い10:00ストリートビューに残る両親の愛 2人がくれたスター俳優との縁10:00受験で有利?100万円の講座も 「体験」ブームに考えた格差と競争10:00京都・清凉寺の重文絵巻、全8巻の予定だった? 160年ぶりに修理11:00佐世保にそびえる3本の塔 真珠湾攻撃命令の発信地は観光名所に9:00