広島・福山の商工会、日本語講座を開設 外国人労働者に「安心を」

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「家族を呼び寄せ、長く働きたい」と話すインドネシア出身のスワトノさん(右)=広島県尾道市因島重井町で2025年7月9日午後2時59分、高田房二郎撮影 「(外国人労働者が)安全安心を持続できるような環境の中で働いてもらうことが私たちの願いです」。広島県福山市の福山商工会議所は6月、福山市立大と共同で外国人労働者向けの日本語教育講座を開くと発表した。記者会見で小丸成洋・同会議所会頭は狙いについてこう話した。 現役世代の労働人口が急減する中、外国人労働者の重要性が高まっている。会員事業所の外国人材活用を支援しようと同会議所は昨年から市などに講座の開講を要望していた。 会議所は「大学という高等教育機関が関わることで事業所は安心して受講させられる」と説明し、安定的な労働力の確保や地域社会への定着促進につなげたい考えだ。Advertisement 厚生労働省によると、国内で働く外国人は2023年10月末時点で初めて200万人を超え、24年の同時点では約230万人となった。産業別では製造業で働く人が最も多い。 在留資格別では、途上国への技術移転名目で始まった「技能実習」が47万725人に対し、人手不足の対応として19年に導入された「特定技能」は20万6995人で前年に比べて50%近く伸びている。 造船が盛んな同県尾道市の因島にある船体ブロック製造「因島鉄工」は、社員約90人の半数近くがインドネシアやベトナム出身だ。 インドネシア・ジャワ出身のスワトノさん(38)は08年に技能実習生として初来日し、同社で勤めた。一時帰国をはさんで、在留期間が通算5年までの特定技能1号の資格で23年に復社。その後、在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たせば家族帯同が可能な特定技能2号の試験に合格した。 今は管理職として外国人社員の指導役を担うスワトノさん。「慣れた仕事をずっと続けていきたい。家族を呼び寄せて一緒に暮らせれば」と目を輝かせる。 同社は1998年に外国人材受け入れを開始した。当初は補完要員的な位置付けだったが、若者の島外流出などで日本人の採用が滞ってきたことから「主力」へと移行した。優れた人材の積極登用や定着支援のため、4年前に専門部署を立ち上げた。 昼休憩を利用して日本語教室を開催、寮やイスラム教の祈りのためのスペースを整備し、定期的に個人面談をして生活を含めた悩み相談に乗る。自転車しか交通手段がない社員を医療機関へ送迎する支援や、近年の円安を考慮した寮費引き下げなどの対策もとる。 海外事業を担当する福島侑課長は「長年の取り組みで、日本人従業員の意識も変わってきた。外国人材に長く働いてもらい、自分たちの技術やノウハウを伝えられることが働きがいにつながっている」と話す。 同社は、インドネシア出身者に配慮してイスラム教のモスクの設置まで検討している。ただ、外国人向けの賃貸物件が地域にないことや、母国から家族を呼び寄せた場合に子どもが通う学校の問題などについて一企業では解決できない課題がある。福島課長は「行政はそういった環境整備に努めてほしい」と語った。【高田房二郎】中国4県の外国人雇用事業所数・外国人労働者数広島 6660(5.2%増) 4万8351人(9.7%増)岡山 3649(7.1%増) 2万6676人(10・9%増)島根  950(8.8%増)   5675人(14・0%増)鳥取  746(3.8%増)   3912人(10・9%増)かっこ内は対前年比(厚生労働省の外国人雇用状況から、2024年10月末時点)