有料記事森下香枝 松浦祐子2025年8月28日 6時00分名古屋鉄道は認知症支援で連携する地元の社会福祉協議会に相談し、介護する社員に必要な新たな支援制度を整えたという=名鉄提供 名古屋鉄道(本社・名古屋市、以下は名鉄)で働く50代男性は、2022年末から、千葉県に住む父親(当時87)の介護のキーパーソンとなった。 脳梗塞(こうそく)の後遺症で杖をついて歩いていた父親が、腸閉塞(へいそく)を発症して3カ月ほど入院した。退院後は要介護5の車いす生活となり、ヘルパーやデイサービスの支援を受けつつ、母親(87)が自宅で父の介護をした。だが、老老介護はすぐに行き詰まった。 23年の夏、母親が介護疲れで体調を壊したため、男性は土日の公休のほかに有給休暇を使って名古屋と千葉県の実家を行き来し、父親の移動や排泄(はいせつ)などの介護を手伝うようになった。 男性は当初、上司に相談していなかったが、年20日ほどあった有休はほどなく使い切り、風邪を引いても休めなくなった。同年秋に上司に相談すると、「介護短日数勤務制度を使ってみれば」とアドバイスされた。 介護が必要な社員が期間制限なしで、公休(土日など月約10日)のほか、最大で月8日の無給の休みを取れる制度だった。同年10月から同制度を使うようになった男性は「もし、この制度を知らなければ、休職、退職を考えたと思う」と振り返る。 父親が他界し、現在は足腰が弱った一人暮らしの母親の通院の付き添いなどをするために、この制度を利用している。 名鉄が介護短日数勤務制度を23年1月からスタートさせた背景には、鉄道事業に従事する約4300人の社員のうち、50代が占める割合が半分以上に上る年齢構成があった。 社員に23年8月にアンケートを実施したところ、同居する家族を介護している社員は約200人、2親等以内で要介護者がいる社員は千人に上った。現在、この制度を50代の5人が利用しているが、それでも24年度に介護離職した社員が5人いる。「隠れ介護をしている社員は多く、介護と告げずに辞めた人もいると思う」と同社人事戦略担当課長の岩田幹さんは言う。名鉄は新たに介護休業を取得した社員に最大1年間、月給の半分に相当する支援金を支給する制度を導入した。要介護者が扶養の場合、月3万円の手当も出す。■同僚にしわ寄せがいかぬよう…【U30応援割】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら3カ月間月額99円!詳しくはこちらこの記事を書いた人森下香枝編集委員|ここからTIMES編集長専門・関心分野終活、中高年のセカンドライフ、事件など松浦祐子デジタル企画報道部|データジャーナリズム専門・関心分野介護、医療、地域包括ケアシステム、認知症こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ8月28日 (木)総裁選要求は「記名必須」に三菱商事が洋上風力発電撤退「特別ビザ」誤情報で混乱8月27日 (水)投票見返りに報酬約束の疑い日産GT-Rが生産終了火山灰で新宿が暗闇に8月26日 (火)元顧問の遺族に直接謝罪首脳会談の調整中も空爆激増スマホ「1日2時間以内」8月25日 (月)ガソリン減税の代わりに新税?海自護衛艦 中国領海に誤侵入火球、日本周辺で最大規模トップニューストップページへ沈黙する議員が握る政権の行方 自民総裁選「前倒し」要求に派閥の影22:13「本社指示に逆らえず」投票呼びかけか、パチンコ店長 選挙違反事件6:00切り札だった洋上風力発電 三菱商事の撤退に経産相「期待を裏切る」20:00ミサ中の教会で銃撃、8歳と10歳が死亡 17人けが、米ミネソタ州3:32「隠れ介護」で離職も 同僚にしわ寄せいかぬよう新制度相次ぐ6:00作家が新潮社に契約解消を申し入れへ コラム問題めぐり「絶望した」19:10