有料記事染田屋竜太2025年8月27日 11時00分一つ一つ丁寧に作られる入れ歯。世界に一つしかない手作りだ 急速に進む高齢化の中、「入れ歯が欲しくても手に入らない」という日が来るかも知れない。作り手の歯科技工士は不足し、「時給600円程度」と苦境を訴える声がある。取材を進めると、背景にはゆがんだ業界の仕組みがあった。 「本当にやりがいもあって良い仕事だと思う。でも、人間としてまともな生活ができるくらいの余裕はほしい」 大阪府内で歯科技工所を営む男性技工士(51)は、ため息をついた。技工士の妻(50)と2人で、ビルの一室で入れ歯やかぶせ物を約10年間つくってきた。「まじめにやろうとするほど苦しい」 特殊な道具を使いながら、一つ一つ手作業。スタッフと3人で毎日、10時間近く細かい作業を続けるが、保険による総入れ歯を作って受け取る収入は2万円あまり。生活はぎりぎりだ。6月末の銀行の預金残高は13万円足らずで、妻は「時給に換算すると600円くらい」という。歯科技工所を営む夫婦の銀行通帳。月末には13万円ほどの残高しかなかったという=2025年6月、大阪府、染田屋竜太撮影 夫婦は技術向上のため各地の学会に足を運び、納得するまで修正することなどを理解してくれる歯科医からのみ受注する。「患者の体の一部をつくる技術者のプライドです。でも、まじめにやろうとするほど苦しい状況」と妻は声を落とす。入れ歯作り、大きく2種類 入れ歯作りは、保険診療と自…この記事を書いた人染田屋竜太東京社会部専門・関心分野事件・事故 国際ニュース(アジア)こんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ8月27日 (水)投票見返りに報酬約束の疑い日産GT-Rが生産終了火山灰で新宿が暗闇に8月26日 (火)元顧問の遺族に直接謝罪首脳会談の調整中も空爆激増スマホ「1日2時間以内」8月25日 (月)ガソリン減税の代わりに新税?海自護衛艦 中国領海に誤侵入火球、日本周辺で最大規模8月24日 (日)異例の日本重視 日韓首脳会談台湾 「原発再稼働」が否決夏の甲子園 沖縄尚学が初優勝トップニューストップページへ「上司に言いにくい」育児介護中の人事希望 労働組合が異例の仲介7:00「再生の道」の石丸伸二氏、9月の代表退任を表明 代表選を実施へ11:03「投票したらお金」相次ぐ情報 パチンコ会社への捜査で浮上した事件6:00テクノロジーで「政治とカネ」解決めざす チームみらい安野氏の挑戦11:00入れ歯がピンチ 作り手は「時給600円」で苦境、後継ぎ不足も心配11:00侵攻3年半、ウクライナ避難者が語る「未知の恐怖」と「戦後80年」10:00