記者の目:「心」を無視した遺骨収集 先人の行為に「謝罪」と「経緯の検証」を

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記者の目注目の連載 三股智子速報毎日新聞 2025/9/5 16:00(最終更新 9/5 16:00) 有料記事 2151文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷藤井輝夫・東京大学長(左から2人目)ら日本の3機関のトップとオーストラリア先住民が参加して行われた、先住民遺骨の返還式典=オーストラリア政府提供 かつて欧米や日本を中心に、先住民族の遺骨を研究目的で持ち去るという行為が盛んに行われていました。時を経て、保管していた遺骨を先住民に返還する流れになっています。最近、東京大など日本の研究機関がアイヌや海外の先住民への返還に際して、初めて自らの行為について「謝罪」を表明。長くこの問題を追ってきた三股智子記者は、先住民の心を無視し、傷付けてきた反省があるならば、研究機関は返還に際し謝罪と、なぜそういう行為に至ったかの検証が必要だと訴えます。三股智子(くらし科学環境部)「悲しみを与えたことを反省」 今年6月、東京都港区のオーストラリア大使館で、東京大と京都大、国立科学博物館(科博)が参加して豪州の先住民遺骨の返還式典が行われた。遺骨は研究目的で収集・保管されてきたが、先住民側の要請に応じて約1世紀ぶりに古里へ帰ることになった。 私はこの問題を9年間追ってきた。ようやく一つの区切りを迎えたわけだが大きな転機と感じる出来事があった。 「遺骨を返すのにこれほど長い年月がかかり、遺憾に思う」(東大学長)。「先住民の心に悲しみを与えてしまったことを反省している」(科博館長)。式典参加者を通じて聞いたこれらの言葉は、日本でそれまで行われてきた、主にアイヌ民族を対象とした先住民遺骨返還では聞かれなかったものだ。経緯を踏まえて真摯(しんし)に対応するなら当然出てくるべき言葉だが、これまでそれがないことで先住民側の感情を傷つけ、関係構築に影を落としてきた。遺骨返還はただ物理的に返すだけではなく、謝罪と経緯の検証があってこそ意義がある。「返す側」がこれまでの姿勢を転換する時が来ている。遺族の許可得ず 墓の盗掘も 先住民の遺骨は、遺族や地域コミュニティーの承諾を得ない盗掘や、遺骨の尊厳を軽視した取り扱いがなされたケースが少なくない。京大が返還した豪先住民遺骨のうち1体は、現地の日本人が、小屋に安置されていた知人女性の遺骨を持ち去って寄贈したという論文が残る。 日本の解剖学の祖として知られる東京帝国大(現東大)の小金井良精(よしきよ)教授(1859~1944年)は、明治時代に自ら北海道各地を回ってアイヌ遺骨を収集し、豪州など海外の研究者と「資料」交換して世界中から骨を集めた。小金井氏が北海道小樽市などを訪れた際の手記には、脳髄の一部が残る埋葬されて間もない頭骨を掘り出す記述や、近隣のアイヌの目をはばかる様子、高齢女性に泣かれて弱ったと心中を明かす描写もある。 小金井コレクションを含めたアイヌ遺骨だけでも、国内の12大学と博物館など18施設に計1700体以上保管されてきた。研究利用は過去の話ではない。2010年代以降もDNAの抽出・分析や、頭骨をCTスキャンして比較する研究に用いられた例もある。先祖には古里で安らかに眠ってほしい――。そんな当たり前の願いがふみにじられた先住民側の怒りや悲しみ、悔しさは察するに余りある。 しかし、日本の大学側は長い間、返還の場で謝罪をしたり、遺骨収集・保管の詳細を説明したりすることを避けてきた。昨年11月に東大から返還を受けた米ハワイの先住民は「謝罪の言葉は全くなかった。死者の尊厳に対し敬意を欠き、差別的な対応だった」と憤った。 大学にとっては、謝罪が賠償責任につながる懸念や、過去の研究者個人の起こした問題に組織としてどう責任を認めるのかという課題を挙げる見方もある。だが、遺骨収集が…この記事は有料記事です。残り733文字(全文2151文字)【前の記事】海洋散骨は事業者任せ? 多様化する「弔い」 支える制度確立を関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る現在昨日SNSスポニチのアクセスランキング現在昨日1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>