映画の推し事毎日新聞 2026/4/5 22:00(最終更新 4/5 22:00) 有料記事 2833文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「蒸発」Ⓒ2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM 東京の山谷、大阪なら西成・釜ケ崎。日本の大都市には日雇い仕事を求める労働者が集まる「寄せ場」と呼ばれる街がある。ドキュメンタリー映画「蒸発」で久々にその光景を目にした。 私がこの街に暮らす人たちの取材を始めたのは、バブル崩壊後の1990年代前半だった。 北海道から沖縄まで出身地は幅広く、外国籍の若者もいた。借金、ギャンブル、家族との確執、ヤクザからの逃亡……。事情はさまざまだが、多くはある日故郷を出たまま、転々としてこの街にたどり着いている。家族からみれば「失踪者」である。 最初は過去について口が重い人も、話し込めば家族や故郷への思いが口をつく。実年齢より老けて見える人が多かった。「そりゃ歯がないからさ」と教えてくれた中年男性は「歯医者に行く金なんてあるか」とカップ酒を手に笑い飛ばした。豪快な笑いとは裏腹に、みなぎりぎりで、その日その日を生き抜いていた。 特に印象深かったのが夏祭りの光景だ。帰省先のない仲間たちが歌や踊りで盛り上がり、この街で最期を迎えた人々の魂を、僧侶とともに悼む。寄せ場の死を孤独と言う人もいたが、私にはこの街の外にこそ、もっと深い孤独があるように思えた。どの国でも起きているはずなのに あれから30年以上。映画に登場した、年齢を重ねて母親の夢を見るようになった男性や、夏祭りの風景が、そのまま当時の記憶と重なった。大阪の都心は再開発ですっかり変貌したというのに、この街だけ時間が止まっているかのようだ。 作品紹介によれば、日本では毎年約8万人が失踪し、うち数千人は完全に姿を消す。世界の40以上の国際映画祭で高い評価を受け、ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭では最優秀作品賞を受賞している。 スクリーンに向き合いながら、ある疑問が浮かんだ。今なぜ、この作品が海外で大きな注目を集めたのか? 共同で製作にあたったドイツ人のアンドレアス・ハートマン監督と、日本人の森あらた監督に話を聞いた。ハートマン監督は「自由になるために姿を消すという発想に、普遍性があるからでは」と答えた。誰もが一度はすべてを手放し、生き直すことを想像したことがあるはず。それが現実として起きているのが日本なのだという。 どこの国にも同じような事情で追い込まれ、失踪する人がいるはずだ。日本にしかない特徴があるとすれば、それは何なのか? ハートマン監督は言った。「一番の特徴は、夜逃げ屋の存在だと思います」心の束縛からも救い出す「夜逃げ…この記事は有料記事です。残り1829文字(全文2833文字)【時系列で見る】【前の記事】坂本龍一の音楽で浮かび上がる「トニー滝谷」の孤独関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載この記事の筆者すべて見る1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>