ヘイワノ音色導いて 長崎・被爆クスノキで指揮棒 5月お披露目

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毎日新聞 2026/4/5 15:00(最終更新 4/5 15:00) 1620文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷完成した指揮棒「ヘイワノタクト」と素材となった被爆クスノキ=福岡市中央区で2026年2月19日、橋本勝利撮影写真一覧 長崎原爆の熱線や爆風に耐え、爆心地近くの神社で葉を茂らせるクスノキの枝を素材に、オーケストラの演奏や合唱に欠かせない指揮棒が完成した。「ヘイワノタクト」と名付けられ、5月に長崎や広島、東京など4都市で開かれる交響楽団の公演でお披露目される。「音楽を通じた平和の継承のシンボルにしたい」。関係者は思いを寄せる。 九州産業大(福岡市)の芸術学部ソーシャルデザイン学科が、被爆80年の2025年に取り組んだプロジェクト「PIECE of PEACE(ピース・オブ・ピース)/ヘイワノカケラ」の一環だ。Advertisement山王神社の2本の大クス。葉や枝は爆風で吹き飛ばされ幹も焼けてしまったが、奇跡的に生き残り、現在は葉をしげらせる。奥の拝殿や神殿は跡形も無く破壊されてしまっている=長崎市で1945年8月中旬~9月中旬、早川弘撮影写真一覧 担当する伊藤敬生(たかお)教授(63)は、長崎出身の被爆3世。山王神社のクスノキは、爆心地から約800メートルに立ち、樹齢は500~600年と推定され、原爆で枯死寸前となりながら新芽を伸ばした。原爆の「生き証人」の姿は、長崎市出身のシンガー・ソングライター、福山雅治さんの楽曲「クスノキ」にもうたわれている。 伊藤教授は「地元・長崎に何かできないか」と考え、長崎市の原爆資料館や山王神社の協力を得て、管理時に生じる剪定(せんてい)材や落ち葉を使い、学生や有志メンバーとともに、落ち葉由来のお香やうちわ、絵の具の製作を試みた。 目指したのは、嗅覚、視覚、触覚、聴覚、味覚の五感を通して平和を感じられる製品をつくること。「『平和』という言葉は漠然として、つかみどころがない」と考えたからだ。戦後80年たっても樹勢を保つ山王神社の被爆クスノキ。電線などの影響で戦前のように自由に枝を伸ばせなくなったが、定期的に樹木医の診察を受け、原爆の目撃者として今も静かにたたずんでいる=長崎市で2025年8月8日、北山夏帆撮影写真一覧 そんな伊藤教授に、長崎市にある文化施設「ベネックス長崎ブリックホール」の関係者が、指揮棒を作る企画を働きかけた。 爆心地から約1キロ南側に位置するホール一帯は、かつて軍需工場群が広がり、原爆投下目標の一因になったとされる。場所に刻まれた記憶と向き合い、平和を考える場所として役割を果たしたいとの思いがあった。 製作を引き受けたのは、九産大の卒業生で、九州交響楽団などが使う弦楽器の製造やメンテナンスの工房を福岡市で営む松本大輔さん(45)だ。ある喫茶店で偶然出会った伊藤教授が松本さんに話を持ちかけた。 松本さんは、約10年前に亡くなった曽祖母から、広島への原爆投下直後、当時暮らした広島県三原市から広島市内に入って夫を捜し回ったものの、夫が被爆死したことを聞いていた。 伊藤教授の打診を機に改めて事実関係を確かめると、曽祖母は入市被爆者として被爆者健康手帳を持っていたことが分かった。それは松本さんが「被爆4世」にあたることを意味した。「衝撃だったが、何かにつかれているような感覚」になり、指揮棒製作を「宿命」と感じた。指揮棒を製作する松本大輔さん=福岡市中央区で2026年2月19日、橋本勝利撮影写真一覧 2月19日に松本さんの工房であった加工作業には、プロジェクトに参加する学生たちが立ち会った。直径約10センチ、長さ約50センチの剪定材を特殊な工具で丁寧に削り、先端や持ち手に丸みを持たせて重心を整えた。 研磨と塗装を経て、クスノキ特有の柔らかさと香りをまとう、長さ35センチほどの指揮棒が仕上がった。学生たちは手に取ってそのぬくもりを確かめた。 完成した指揮棒は、5月に来日するハーバード・ラドクリフ管弦楽団の日本公演で披露される。同楽団は名門ハーバード大の学生で構成され、北米で最も長い歴史を持つ交響楽団の一つ。24年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の活動に感銘を受け、日本被団協が設立70年となる節目の年に日本ツアーを計画した。「Music as Peace(ミュージック・アズ・ピース)」をテーマに、20日の横浜を皮切りに、東京・長崎・広島の計4都市を指揮棒とともに巡る。完成した指揮棒を手にする松本大輔さん(左)と素材となった被爆クスノキを持つ九州産業大の伊藤敬生教授=福岡市中央区で2026年2月19日、橋本勝利撮影写真一覧 公演後は、ブリックホールで展示するほか、平和をテーマにした他の音楽公演でも使う予定だ。 松本さんの協力で、広島の思いも込められた指揮棒。伊藤教授はこう願う。「タクトは音楽を奏でる中心にあり、指揮棒の先では演奏者が一つになる。平和への願いを一つに重ねることに通じる。断片的なかけらが平和を考える大きなうねりになればいい」【橋本勝利】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>