AIに負けない 一力遼本因坊の「自分で考える力」 棋士座談会

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毎日新聞 2026/3/31 06:01(最終更新 3/31 06:01) 2166文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷将棋と囲碁の魅力を語り合った(右から)藤井聡太名人、西山朋佳白玲、藤沢里菜女流本因坊、一力遼本因坊=東京都渋谷区で2026年3月3日、内藤絵美撮影 将棋界と囲碁界をけん引する藤井聡太名人(23)と西山朋佳白玲(30)、一力遼本因坊(28)と藤沢里菜女流本因坊(27)による座談会。トップ棋士4人の話は人工知能(AI)との向き合い方に及んだ。藤井名人「背景の読み筋を取り入れて」 ――AIを研究に取り入れていらっしゃいますが、AIとの付き合い方で意識されていることはありますか。Advertisement座談会で質問に答える藤井聡太名人=東京都渋谷区で2026年3月3日、内藤絵美撮影 藤井 将棋は約10年前に電王戦があり、その時期からコンピューター、AIの実力が棋士を凌駕(りょうが)するようになりました。その後もさらに進化し続けて、今では非常に高いレベルに達しています。私自身もAIを活用して研究に取り組むことがかなり多くなっています。AIで検討すると、その局面の指し手や形勢判断で非常に正確なものは得られますが、将棋でも必ず一局のどこかで未知の局面になり、いかにその局面の急所を捉えて読みを組み立てていくかというのが一番大事なスキルといえます。単に知識を得るだけではなく、未知の局面に応用する力に変えていくことが一番大事なことなんじゃないかなと考えています。 ――AIが出している正解を知識として自分の中で消化し、実戦に当てはめていくということですか。 藤井 その局面と指し手や形勢というのを一対一で結びつけるだけではなく、例えば、その局面で形勢が少し先手に有利と出ていたとしたら、「なぜそういう形勢判断になるのか」「どういう要素がその形勢の差に結びついているのか」と自分なりに考えることで、他の局面でも応用して考えられる面があるのかなと思います。指し手についても同様で、単に指し手を記憶するだけではなく、その背景にある読み筋であったり、考えだったりというのを自分の中で解釈して取り入れていくことが求められるのかなと。西山白玲、振り飛車へのこだわり ――西山さんは「振り飛車」を主戦法にされていますが、AIで検討すると、振った瞬間に評価値が下がることがあるといわれています。座談会で質問に答える西山朋佳白玲=東京都渋谷区で2026年3月3日、内藤絵美撮影 西山 AIが普及した当初は、常識が見直されたり、そのつど正解を教えてもらえたりといった新鮮さがありました。ただ最近は、AIを踏まえた上で、未知の局面がどうなるかを模索するのが流行になっていると感じます。私はあまり評価値という言葉にとらわれないようにしています。どちらかといえば、中終盤のしのぎ合いに楽しさを感じるタイプなので、自分が指していて楽しいと思える方向で追求している気がします。 ――AIの数値だけでなく、人間としての感性や楽しみを貫いていくということですね。 西山 振り飛車は評価値が下がるといわれますが、良くなれば勝ちやすいといった特徴もあります。良さも間違いなくあるので、もうちょっと頑張っていきたいです。座談会で質問に答える藤沢里菜女流本因坊=東京都渋谷区で2026年3月3日、内藤絵美撮影 藤沢 AIを完全にうのみにしてしまうと頭がそればかりになってしまい、自分で考えなくなってしまいます。AIの意見はあくまで一つの参考とし、その上で「自分はどう打つか」「どう展開していくか」を考えるのが大事かなと思います。一力本因坊、未知の局面での対応力 ――一力さんは「AI時代の最善手」(PHP新書)という著書も出されています。AIを超える手の可能性についてはどうお考えですか。 一力 10年ほど前に囲碁AI「アルファ碁」が世界チャンピオンを破って衝撃を与えました。その後はAIと人間が対決する構図になりましたが、ほんの数年でAIが人間より強くなり、この7、8年は人間がAIをどう活用するかというフェーズに入りました。ただ、AIが示す手をうのみにするだけでは難しい部分があり、AIが推奨する最善手を追っても、実戦では人間がどこかで変化する可能性が高い。その際、対応を誤ると不利になる局面は往々にしてあるので、自分の頭で考えるということ、そして未知の局面でどう対応するかが問われていると感じます。 ――AIでも気付けていない部分があるということですか。 一力 もちろん、人間が気付かない手をAIに示されることは多いです。しかし囲碁の場合、局地的な読みにおいては、人間が30手先を読んで打った一手が、その瞬間はAIの数字が下がっても、数手進むとまた評価が上がってくるといったことがあります。瞬間的に数字が下がっても、総合的に見れば人間の手が勝ちに近い、という場面はたまに出現しますね。藤井名人、目標は「面白い手」 ――人間の力を感じます。座談会で質問に答える一力遼本因坊=東京都渋谷区で2026年3月3日、内藤絵美撮影 一力 総合的な実力はAIが上ですが、全てにおいてAIが人間を凌駕しているわけではありません。AIが出てきてからの10年を見ると、10年前に10代後半や20代前半だった棋士が今も活躍していて、選手寿命が延びたという印象があります。もちろん若い棋士もAIを使って非常に深く研究していると感じるのですが、研究から外れた「自分の頭で考える力」が勝負を分けるからです。私も40代、50代までトップで活躍し続けたいですね。 藤井 AIは非常に高いレベルにありますが、パーフェクトではありません。AIが示す評価値はあくまで「勝ちやすさ」であって、絶対的な正解ではありません。AIを正解の基準とするのではなく、自分なりに「良い手」や「面白い手」を見つけ出すことを目標にしていきたいと考えています。【司会は鈴木泰広・毎日新聞学芸部長、構成・武内亮】【時系列で見る】関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>