警察官が自転車利用者に青切符制度の導入開始やルール順守を呼びかけた=2026年3月17日午前10時46分、東京都千代田区神田神保町2丁目、太田原奈都乃撮影 自転車の交通違反への交通反則通告制度(青切符)が4月1日から始まる。青切符とはどのような制度で、どういう違反が対象になるのか。新たな仕組みを導入する背景とは。ポイントをQ&A方式で紹介します。この記事でわかること①青切符の導入で何が変わる②青切符ってなに③どんなときに青切符の対象になるの④青切符導入の背景は①青切符の導入で何が変わるの? これまで青切符の対象は車やバイク、電動キックボードなどだったが、2026年4月から自転車が加わる。16歳以上が対象だ。 自転車に青切符が導入されても、これまで通りルールを守っている利用者に影響はなく、違反をした人に対する警察の指導取り締まりのスタンス自体は基本的に変わらない。いわゆる厳罰化ではなく、自転車の違反となる行為もこれまで通りで、違反の処理の方法が変わる。 例えば、国が以前から定めている「自転車安全利用五則」では、自転車は車両なので車道の左側を走るのが大原則で、例外的に歩道を走れるものの歩行者が優先だということが示されている。こうした決まりをしっかり守っていれば、これまでと変わる点はない。 警察官が違反を現認したら、まず指導警告をすることが基本になる。悪質・危険な違反を検挙した場合には、従来はすべてを赤切符で処理していたが、このうち比較的軽微な違反については青切符の対象にするということだ。多くの違反は、自動車と同じように青切符に移っていくことになる。②青切符ってなに? 青切符は、比較的軽微な道路交通違反者に対する行政手続きで使う交通反則告知書(反則切符)のこと。告知書が青のため「青切符」と呼ばれる。告知書を受けた違反者が反則金を納めれば刑事罰は科されない。反則金を納めない場合、警察が検察に事件送致して刑事手続きに乗る。 警察官は青切符を交付する際、身元を確認するため運転免許証や他の身分証の提示を求めるという。自転車の交通違反で青切符を交付されても運転免許の点数は付されない。 ただし、自転車で死亡事故などを起こした場合や、飲酒運転など悪質・危険な違反をして、その人が自動車を運転することで著しく危険を生じさせるおそれがあると公安委員会が判断すれば免許停止になる。自転車の違反の反則制度 納付された反則金は国の歳入になり、国から都道府県や市町村に交通安全対策特別交付金として交付され、信号機や道路標識、歩道橋などの安全施設の整備費用に充てられる。 飲酒運転などは反則通告制度の対象外で、交通切符を受けて検察に送致され、刑事手続きに乗る。交通切符は赤色のため「赤切符」と呼ばれる。③どんなときに青切符の対象になるの? 自転車の青切符は比較的軽微な113種類の違反が対象となる。酒気帯び運転や酒酔い運転、あおり運転(妨害運転)といった重めの24種類の違反は引き続き赤切符の対象だ。 警察庁の説明では、青切符の対象となる違反でも、現場で警察官が違反者に指導警告するのを基本とし、事故の原因となったり具体的な危険を生じさせたりする悪質、危険な違反に青切符を交付する。青切符の対象となる例。ルール違反のなかでも、悪質・危険な行為を対象とするという 例外となるのが、①スマートフォンなどを手に持って通話したり、画面を注視したりする「ながら運転」、②遮断機が下りた踏切への立ち入り、③ブレーキがないなどの制動装置不良。この三つの違反については「重大な事故につながるおそれが高い」として、警察官が現認すれば原則として青切符の対象とするという。ただ、警察庁は「必ず青切符を交付するわけではなく、状況に応じて対応する」と説明する。 警察官の指導警告に従わず違反を続けた時も青切符の対象となる。右側通行(逆走)を続けた時や、近くに警察官がいるのが分かっているのに信号無視をした時などがそれにあたるという。 警察庁は「これまで赤切符で処理してきた違反の多くが青切符の対象になるだろう」と説明する。 今回、車が自転車の右側を通過する際に双方に新たな義務が科される。車と自転車に十分な間隔がない時、車は安全な速度で進行し、自転車はできる限り道路左端に寄る必要があり、いずれも違反は青切符の対象。警察庁は、車が取る間隔を「少なくとも1㍍程度」、それを確保できない時の速度を「時速20~30㌔程度」との目安を示した。④青切符導入の背景は 国内の交通事故は全体で減少を続ける中、自転車が絡む事故は年間7万件前後と横ばいで推移し、全体に占める割合は増加傾向だ。 特に、自転車が歩行者にぶつかる事故が増えている。自転車が最も過失割合が高い第1当事者や、第2当事者となった対歩行者の事故は2025年は3269件で、過去20年で最多となった。15年と比べると3割増えている。 この3269件のうち、衝突した場所が歩道や横断歩道が56.6%を占め、本来歩行者が守られるべきところで自転車の被害に遭っている形だ。 歩行者にぶつかった事故の99.9%で自転車側に法令違反があった。自転車乗車中の死亡事故(自転車が第1、第2当事者)で見ても、法令違反がある割合は約8割で長年推移している。●●しながらの違反に注意 警察は自転車の交通違反に対する取り締まりを強化してきた。従来は現場で警察官による指導警告にとどめていた違反でも、悪質、危険なものは積極的に刑事罰の対象となる「赤切符」で取り締まるようにした。 自転車の違反の検挙件数は20年前は年間数百件だったが、取り締まり強化に伴って増え始め、15年に1万件を超えた。その後も増え続け、25年は6万163件に上り、この10年間で4倍以上に増えている。 ただ、赤切符による処理は制裁の実効性が乏しい面がある。警察庁が19年に都道府県警に対して行った調査では、赤切符を受けて検察に送致されても起訴されたのは1~2%に過ぎなかったという。 このため警察庁は、実効性のある制裁の制度として青切符の導入を検討。有識者検討会での議論をふまえ、道路交通法改正案をまとめ、24年に改正法が成立した。