映画の推し事:シンデレラ物語の“絶対王子”永瀬廉 「鬼の花嫁」は大俳優への第一歩だ

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映画の推し事毎日新聞 2026/3/28 09:00(最終更新 3/28 09:01) 2858文字ポストみんなのポストを見るシェアブックマーク保存メールリンク印刷「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会 あまりにも単純な連想ではあるが、「鬼の花嫁」が親から不当に差別的待遇を受けていた普通の少女が階級を上昇するラブストーリーであることは、童話「シンデレラ」を思い起こさせる。 広く知られている「シンデレラ」の物語は、フランスの作家シャルル・ペローが古事を整理して出版した短編集、教訓が込められた「昔話とコント(Histoires ou Contes du Temps passé, avec des moralités)」に初収録された。Advertisement 原題は「Cendrillon ou la petite pantoufle de verre(サンドリヨン、または小さなガラスの靴)」だったが、英語に翻訳される過程で「Cendrillon(サンドリヨン)」が「Cinderella(シンデレラ)」になったという。「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会世界にちらばる相似的童話 興味深いのはペロー版以前にも、似た内容の童話が世界中に存在していたという事実。最も古いものとしては、紀元前1世紀ごろのギリシャの歴史家ストラボンの物語に登場するロドピスの挿話がある。 ロドピスはギリシャとエジプトの血を引く奴隷で、仲間たちがファラオの宴に参加している間、川でひとり洗濯をさせられた。 その時、ワシが彼女の靴をくわえてファラオの足元に落とし、ファラオは靴の持ち主を探し回った結果、最終的にロドピスと出会う。続きは予想通り、ファラオはロドピスに靴を履くように言い、サイズが合って恋に落ち結婚にまで至る。 9世紀の唐代に出版された随筆集「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」に登場する「葉限(しょうげん)」という女性の例もある。 継母にいじめられながら苦しい日々を送っていた彼女は、赤いウロコの魚を友として自らを慰めていたが、継母がそれを食べてしまう。落胆した葉限が魚の骨を持って悲しんでいると魚の神が現れ、彼女に華やかな服と黄金の靴を贈り、舞踏会が開かれることを告げる。 葉限は着飾って舞踏会に参加するが、継母と異母姉に遭遇したため慌てて帰宅する途中で靴の片方をなくしてしまう。王がこの靴を拾い、彼女を捜し出して王妃として迎え入れる。 この話がヨーロッパに伝わり「シンデレラ」の原形になったという説が有力だが、中国大陸の歴代王朝の中では唐代における東西交流が最も盛んであったことを考慮すれば、これにもうなずける。「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会ディズニーアニメ誕生秘話 シンデレラが世界的な人気を得たのは、1950年に製作された長編アニメーションのおかげである。 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズは、初の長編アニメーション「白雪姫」の成功で莫大(ばくだい)な利益を得たものの、続編の興行的失敗により財政危機に直面した。 その後勃発した世界大戦に乗じてアメリカ政府の戦時国策宣伝映画を製作し破産は免れたが、オーナーのウォルト・ディズニーは勧善懲悪の物語が記録的な興行成績を収めた「白雪姫」の栄光を取り戻したいと願い、宣伝映画で得た資金と労力を「継母から迫害を受けるが、協力者たちの助けで王子と出会って救われる、第二の白雪姫」である「シンデレラ」に注ぎ、興行神話を更新する。 ここで特筆すべきことがある。「シンデレラ」の王子は、「白雪姫」よりも能動的で好感を持たれやすいということだ。これがヒットの要因となった。 「白雪姫」の王子が、死にかけていた姫と偶然出会って恋に落ちるという、運命に対して受動的なキャラクターだったのに対し、「シンデレラ」の王子は舞踏会で出会った女性のガラスの靴という手がかりを持って国中を積極的に捜し回り、幸せを手にする「探索者」だ。 シンデレラが、「世界で一番美しいのは誰か」という質問に対する絶対的な回答となるほどの美貌の持ち主ではなかったように、王子もまた別の性格を与えられているのである。「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会役を掘り下げるメソッドアクター 筆者はここに、「鬼の花嫁」の興行的な強さがあると思う。 まず、シンデレラに相当するキャラクターである東雲柚子に、「ハニーレモンソーダ」で日本アカデミー新人俳優賞を受賞した吉川愛をキャスティングしたことに、安定した役作りの技量が十分に生かされるとの期待が表れている。 加えて画竜点睛(がりょうてんせい)となったのが、他でもない永瀬廉という俳優に、王子にあたる鬼龍院玲夜を演じさせたことだ。 韓国・プチョン国際ファンタスティック映画祭(BIFAN)の日本映画アドバイザーなど海外映画祭を中心に活動していた筆者は、永瀬をBIFANで最優秀アジア映画賞を受賞した「真夜中乙女戦争」の主演俳優としては認知していたが、日本でのJ-POPスターとしての活躍は全く知らなかった。 後に彼が、韓国でも絶対的な人気を誇るアニメーション「弱虫ペダル」の実写版で主演していたことも知るのだが、彼は顔が良いだけの“ピンナップボーイ”的なイケメン俳優ではなく、与えられた役を徹底的に分析し、表現者として新しい人物像を創造するメソッドアクターだ。考えてみれば、「真夜中乙女戦争」には類型的な人物が一人も登場しなかったではないか。 続く彼の作品は、法律と友情の間で葛藤する弁護士、久我清義を演じた「法廷遊戯」である。ここでの永瀬を分かりやすく例えれば、頭脳戦と倫理的選択の岐路で機知を発揮する「ザ・ファーム 法律事務所」のトム・クルーズ。素晴らしい演技を披露した。「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会強さも備えた立体的キャラクター そして、今回の「鬼の花嫁」における鬼龍院玲夜。誰が見ても“王子”であることは明らかなキャラクターだが、永瀬廉が演じる玲夜は、ぼんやりと立っている間にたまたま視界に入ってきたヒロインを拾う受動的な王子ではない。口に出せない内面の傷を抱え、彼女と出会ってからも理想のタイプと決めつけず、コミュニケーションを通じて関係を形成する。 ただ存在するだけの平面的キャラクターではなく、積極的に状況に反応し、時には先に動く立体的キャラクター。さらに、悪者が挑んできた場合は容赦なく撃退し、愛を守り抜く強さをアピールして魅力を最大化する。 これによって、登場する男が弱く優柔不断な自分に欠けているものを相手に見いだすことが愛の火種となる、ありがちなシンデレラストーリーとは明確に差別化される。 ドラマに登場する男女のキャラクターが現実からますます乖離(かいり)している最近の傾向を反映しつつ、玲夜を唯一無二と感じさせる好演を見せるのである。永瀬廉の芝居には、これから資質を開花、成熟させて大俳優への道をたどる過程を見守る楽しみがある。「鬼の花嫁」Ⓒ2026「鬼の花嫁」製作委員会日常を忘れる楽しみ 全てのフェアリーテイルの基本オプションであるシンデレラストーリーは、前後の展開が全て予測できるにもかかわらず、常に愉快である。荒涼とした日常の苦しみを忘れさせてくれる楽しみを、断る理由はないだろう。 観客を夢中にさせるさまざまな仕掛けが施された“ハイエンドファンタジー”で、久しぶりにエンタメ映画の魅力にハマってみるのはどうだろうか。(洪相鉉)【時系列で見る】【前の記事】文楽、古民家… ゆったりと“時間”を味わう「道行き」  関連記事あわせて読みたいAdvertisementこの記事の特集・連載1時間24時間SNSスポニチのアクセスランキング1時間24時間1カ月アクセスランキングトップ' + '' + '' + csvData[i][2] + '' + '' + '' + listDate + '' + '' + '' + '' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList;}const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item');let dataValue = '1_hour';Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick);});fetchDataAndShowRanking();//]]>