朝日新聞連載性売買の現在地記事視点・解説2026年3月31日 11時02分無料案内所や風俗店が立ち並ぶ歌舞伎町=2026年3月21日午後6時46分、東京都新宿区、藤原伸雄撮影 法務省は売買春の法規制のあり方を議論する有識者検討会を立ち上げ、売春防止法(売防法)を改正して「買う側」にも罰則を導入するかを主要な論点の一つとして検討を始める。しかし売防法が想定しているのは男女間の性交のみ。それ以外の性的サービスは「合法」として、世界にも類を見ない、巨大な産業を形成している。 「高級ソープランド」「ファッションヘルス」「デリバリーヘルス(デリヘル)」「メンズエステ」――。日本一の歓楽街、東京・歌舞伎町に足を踏み入れると、性風俗店の多種多様な看板が目に入る。提供されるサービスや業態は細分化され、街の至る所に広がっている。 その市場規模は巨大だ。矢野経済研究所が昨年12月に公表した「ナイトタイムエコノミー市場に関する調査」によると、客が指定したホテルや自宅に女性を派遣する「デリヘル」だけで、2024年度の市場規模が1兆4千億円にのぼると推計されている。「合法」の性サービス、次々と「開発」 1956年に制定された売防法は、売春を「対価を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交をすること」と定め、禁止している。この「性交」について、過去の判例は「男女間の膣(ちつ)性交」に限定して解釈してきた。手や口を用いて射精を促すサービスや疑似的な性交は、同法が禁じる売春にはあたらない。 業者は「『本番行為』(性交)さえしなければ違法ではない」という解釈のもと、法の網にかからないサービスを次々と「開発」した。これらは風俗営業法の管轄下に置かれ、「性風俗関連特殊営業」として位置づけられる。風営法は営業時間や出店地域、18歳未満の立ち入りなどを規制するが、都道府県に届け出をすれば営業可能で、ルールを遵守する限り、「合法」のビジネスだ。「性交とそれ以外」を法律で分けるのは日本独特で、日本の性産業は法の隙間を縫う形で「ガラパゴス的」な発展を遂げてきた。無料案内所や風俗店が立ち並ぶ歌舞伎町=2026年3月21日午後6時48分、東京都新宿区、藤原伸雄撮影 警察庁が毎年公表している風俗営業に関する資料によると、ソープランドやファッションヘルスといった「店舗型」の営業数は長期的に減少傾向にある。代わって増加しているのが、客が指定したホテルや自宅に女性を派遣するデリヘルなどの「無店舗型」だ。 背景にはスマートフォンの普及がある。客はウェブサイト上で条件に合う女性を選び、手軽に呼び出すことができる。特定の歓楽街に足を運ぶ必要がなくなり、場所を問わずサービスが提供されるようになった。現在、警察への無店舗型の届け出数は約2万件に達し、店舗型を大きく上回る。売防法による摘発はまれ 風営法のもとで合法とされる性風俗だが、「本番行為」が行われていないわけではない。 代表的なのがソープランドだ。風営法上、個室付きの浴場業に分類され、営業の形態も「浴場の個室で異性の客に接触する役務を提供」と定められている。しかし密室で客と従業員が性交に及んでも、「従業員と客がたまたま恋愛し、合意の上で行った個人的な行為であり、店として売春のあっせんはしていない」という建前のもと、性交が行われることが前提となっている。 性風俗の法律問題に詳しい若林翔弁護士は「警察もソープランドなどで日常的に本番行為が行われていることは当然認識しているが、売防法による摘発はまれで、黙認の状態が続いてきた」と話す。 一方で近年、ソープランドを売防法で摘発するケースが相次いでいるが、これには、組織的なスカウトグループの根絶という狙いがある。若林弁護士によると、背景には、スカウト会社を「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と認定したことによる規制強化や、女性に多額の「売掛金」を背負わせ、スカウトを通じて売春させたり海外出稼ぎさせたりといった悪質ホスト問題が社会問題となったことがあるという。(伊木緑、寺沢知海)【スタンダードコース|デジタルのみ】今なら4カ月間月額200円で読み放題/再入会は500円!詳しくはこちら【ダブルコース半年割|宅配購読者限定】今だけ超特価!はじめの4カ月間は月額100円!詳しくはこちら関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ3月31日 (火)8.6兆円の暫定予算が成立4月から共同親権がスタート田久保・前伊東市長 在宅起訴3月30日 (月)親イラン武装勢力が参戦中国大使館侵入疑い 家宅捜索抹茶ブームの陰 中国産が台頭3月29日 (日)イラン攻撃1カ月、家計圧迫か広がる子どもの視力低下お台場に26億円の巨大噴水3月28日 (土)女性刺殺 容疑者は元交際相手政府、暫定予算案を閣議決定ドジャース 開幕戦で逆転勝利トップニューストップページへ速達の配達、一部で遅れ 輸送方法切り替えで、日本郵便は公表せず5:00独自「敵基地攻撃」可能なミサイル、陸自が正式配備 防衛政策の転換点に5:00「危険運転」見直しへ法案 数値基準を導入、高速度は処罰範囲拡大も9:15今季初登板迎えた佐々木朗希の課題 ドジャース日本勢が3日連続先発6:30トランプ氏、地上戦踏み切るか 「高いボール」投げ合う交渉でなぜ6:00金メダルの歓声響いた村が味わった転落 ハクバを世界へ!重ねた努力8:00