朝日新聞記事深掘り2026年5月3日 6時00分有料記事「みる・きく・はなす」はいま 自由な言論を阻むものが日常に潜んではいないか。記者が探し歩く朝日新聞の連載「『みる・きく・はなす』はいま」は1987年10月の新聞週間に始まり、昨年までに50部286回続いてきた。萎縮をもたらす芽は時代の変化に応じて姿を変えつつ、残存していることを伝えてきた。 連載開始初期の80年代後半は皇室を扱ったものが目立った。昭和天皇が89年1月に亡くなり、百貨店から結婚式場、ディズニーランドに至るまで活動の自粛が広がった時代だ。 昭和天皇の戦争責任に言及した市長は脅迫電話を受け続け、学者の家には「不敬言動審査会」を名乗る男がやってきた。3部「『制』の社会学」はそんな事例から、「タブー化」の一端を描いた。 昭和から平成に変わり、90年には外国人登録者数が100万人を超えた。呼応したかのような排外的な動きをとらえたのが9部「隣人たちの沈黙」だ。 アジア蔑視に基づくヘイトスピーチなどの外国人差別は、日本の経済的地位が相対的に沈む2010年代に深刻化する。35部「扇動社会」、38部「敵がいる」、39部「排除の理由」などで頻繁に扱ってきた。 ナショナリズムが吹き荒れたのが00年前後のことだ。99年に国旗・国歌法が成立し、06年には「我が国と郷土を愛する」という文言が盛り込まれた改正教育基本法が成立した。28部「『愛国』の陰で」は通知表に「愛国心」の評価項目を設けた小学校を、30部「統制の足音」は小学生に君が代斉唱を熱心に指導する校長の姿を取り上げた。 東日本大震災後、民主党政権を倒して12年に第2次安倍政権が誕生してからは、政権の方針と違う動きがやり玉に挙がる事例が目立った。 41部「話そかな、」では、集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法を授業で扱った高校(生徒の討論では反対多数に)を自民県議が議会で問題視した出来事や、憲法行事の開催を避ける自治体を紹介。43部「発した先に」では、政権に批判的な元文部科学次官を講演に招いた市立中学校について、文科省が市教委を追及した問題を深掘りした。「許せない、許さない」 インターネットやスマートフォン、SNSなど通信技術や機器の発展で、言論環境そのものが変化してきたことも映し出してきた。実態のある表示回数なのか……(写真5枚を合成したイメージです)=瀬戸口翼撮影 連載当初の言論に対する攻撃といえば、中傷のはがきやビラ、嫌がらせの電話だった。「ウィンドウズ95」日本語版が発売されてインターネットが普及してからは、匿名性を背景にした書き込みが目立つようになった。同時に個人情報の管理が厳格化されていく。27部「個人情報のゆくえ」はその功罪を伝えている。 08年にツイッターの日本語版サービスが始まり、個人の発信力が高まった近年、真偽の怪しい情報に翻弄(ほんろう)される事例が相次ぐ。45部「許せない 許さない」では、ある居酒屋で新型コロナの感染者が出たとするうその情報がツイッターでとめどなく拡散していった事例を紹介した。 1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に侵入した男が散弾銃を発砲し、小尻(こじり)知博記者(当時29)ら2人が殺傷された。「反日朝日は五十年前にかえれ」。そんな犯行声明を報道機関に送りつけ、事件を重ねていった「赤報隊」に対する答えとして、朝日新聞は連載「『みる・きく・はなす』はいま」を始めた。自由にものが言えない戦前になど、決して戻らない――。報道の役割を考えようと、2023年4月30日の朝日新聞紙面で振り返った47部にわたる連載と、当時の大阪社会部長の視点を改めて配信します。口ふさがせない 原点問い続け…関連トピック・ジャンル関連ニュースこんな特集も注目ニュースが1分でわかるニュースの要点へ5月3日 (日)岩手・大槌の山林火災「鎮圧」高市首相 新外交方針を表明ボクシング「世紀の一戦」5月2日 (土)錦織圭、今季限りで引退表明メットライフ生命、無断取得旭山動物園、2日遅れで開園5月1日 (金)性的暴行訴えた検事が辞職へ水俣病の公式確認から70年2027年問題で値上がり?4月30日 (木)「出光丸」初のホルムズ通過4月のクマ目撃、秋田で急増チャイルドシートどうする?トップニューストップページへイラン、米軍攻撃に「機雷イルカ」浮上か 海上封鎖長期化の中 米紙3:29世紀の一戦を制した井上尚弥 父が語る「非情さ」「チームの成熟」23:20最高裁長官、保釈に「不断の検討が必要」 生成AIは「猛獣」と表現5:00潮干狩りの客、1人死亡2人行方不明 茨城の海で流される19:28朝日新聞阪神支局襲撃事件、きょう39年 2記者殺傷、未解決のまま5:00不登校の息子に過干渉だった母 「管理していた」正論で傷つけた後悔15:00